JR東日本では、各駅の一日平均乗車人数を年度ごとに発表しています。このほど2019年度の各駅のデータが公表されました。
★JR東日本ホームページより「各駅の乗車人員」
https://www.jreast.co.jp/passenger/
乗車人数の多い駅から順番に並べられているリストで、最後のページに八ッ場ダム湖畔の「川原湯温泉駅」があります。⇒https://www.jreast.co.jp/passenger/2019_09.html
川原湯温泉駅のJR東日本の駅の中で下から6番目(人数を数えられない無人駅を除く)で、18人となっていますが、表を見ると実際には17人のようです。2018年度の川原湯温泉駅の一日平均乗車人数は21人でした。
八ッ場ダムは、ダムの運用が開始された4月以降、コロナ禍でダム観光にブレーキがかかっていましたが、7月にダム堤が開放され、水陸両用バスの運航も始まったことから、草津温泉などを往来する観光客の立ち寄りスポットとして賑わっています。けれども、観光スポットはダム堤も道の駅も、いずれも国道が走るダム湖の左岸側にあり、対岸にある川原湯温泉は賑わいから取り残された状態です。
地元のダム闘争では、水没住民がダム事業によって川原湯温泉が衰退することを一番に懸念し、隆盛だった川原湯温泉街が八ッ場ダム反対闘争の核となったのですが、住民の懸念通りの厳しい展開となっています。
八ッ場ダムの水没地にあった川原湯温泉駅は、東京・上野駅始発の特急草津が停車し、名勝・吾妻峡と川原湯温泉街に徒歩10分以内と、観光に大変便利な駅で、四季を通して多くの観光客が利用してきましたが、ダム事業に伴い、2014年9月に水没地の駅は営業を終了しました。同年10月から現在のダム湖畔の土地に移転しましたが、乗降客数は年々減少し、2017年3月より特急の停車駅から除外されました。
右の表に載っている駅は、平滝、横倉、信濃白鳥が長野県の飯山線)、相野々が秋田県の北上線、只見が福島県の只見線(只見)の駅です。
(写真右=水没地にあった川原湯温泉駅。)
上毛新聞の関連記事を転載します。コロナ禍による乗車人数の減少という切り口で取り上げられていますが、川原湯温泉駅の減少率は他の駅と一桁違います。
◆2020年7月26日 上毛新聞 紙面記事より転載 (川原湯温泉の新駅の写真は当会撮影)
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/228644
ー県内JR駅 乗車数8割前年割れ 19年度の1日平均 移動自粛が影響ー
群馬県内にあるJR駅の2019年度の1日平均乗車人数は、およそ8割の駅で前年割れとなったことがJR東日本のまとめで分かった。都市部を中心に駅利用が目立った前年から一転し、年明け以降の新型コロナウイルス感染拡大による移動自粛が影響した。同社高崎支社は出張需要の落ち込みなどが続き、先行きも厳しい状況になると見込む。
無人駅を除き、JR東が公表している29駅のデータを比較。23駅(79.3%)が前年度より下落した。
県内最大のターミナル、高崎は3万2160人(前年度比0.03%減)で5年ぶりの前年割れ。高崎に次いで利用の多い前橋(1.6%減)、新前橋(1.2%減)、伊勢崎(1.0%減)など18年度に最多を更新した駅も軒並み減少に転じた。下落率が最も大きかったのは川原湯温泉(14.3%減)。中之条(6.5%減)、水上(6.3%減)、長野原草津口(2.8%減)といった観光地の最寄り駅も苦戦した。
前年より多いのは04年の開設以来、増加が続く高崎問屋町(3.1%増)など6駅にとどまった。
利用状況について、同支社は緊急事態宣言の解除以降、移動自粛が緩和され、緩やかな回復傾向にあるとしながら、「出張需要の落ち込みやテレワークの広がりなどで、全体的に非常に厳しい状況が続いている」と受け止める。JR東は新型コロナの影響が長期化する可能性から、時間帯によって運賃を変えるなど、ダイヤや運賃の見直しの検討を進めている。
県内のJR駅は53駅あり、乗車人数は駅員がいて、利用状況を把握できる駅のみJR東が公表している。