球磨川流域の市町村でつくる「川辺川ダム建設促進協議会」の定期総会が昨日(8月20日)、開かれ、「国と県は、川辺川ダム建設を含めた洪水の検証を速やかに実施し、早急に結論を出すべき」という決議を採択しました。
予想された動きですが、球磨川の治水対策はこれからどうなるのでしょうか。
国と熊本県は、 8月25日に流域12市町村も参加する球磨川治水対策の検証委員会を開くことになっています。
国土交通省九州地方整備局のホームページに、この合同会議のお知らせが掲載されています。
http://www.qsr.mlit.go.jp/press_release/r2/20081901.html
◆2020年8月21日 熊本日日新聞
ー「川辺川ダム含め検証を」 建設促進協、熊本豪雨受け決議ー
相良村を除く球磨川流域11市町村でつくる「川辺川ダム建設促進協議会」の定期総会が20日、錦町であり、ダム建設に反対し脱会した相良村の加入を承認した上で、7月の豪雨災害を受け、国や熊本県に、ダム建設を含めた抜本的な治水対策を求める流域市町村決議を全会一致で採択した。
決議は流域12市町村長の連名で、「約10年に及ぶ『ダムによらない治水』の検討の場は、結論さえ見いだせず空白の時間だった」と指摘。「国と県は、川辺川ダム建設を含めた洪水の検証を速やかに実施し、早急に結論を出すべき。その結果を踏まえ、目標時期を定めた抜本的な治水対策を」と求めている。今後、国など関係機関に要望書を提出する。
同日、協議会に加入した吉松啓一相良村長は「流域住民が安心して生活できるよう、防災対策を進めていきたい」とあいさつした。
協議会には市町村長ら約20人が出席。欠員だった会長に森本完一・錦町長、副会長に中村博生・八代市長と木下丈二・五木村長がそれぞれ就任した。
森本会長は「流域住民の水害への不安解消と復旧復興は待ったなしの状況。一刻も早く安心して暮らせる環境を整備する必要がある」と強調した。(小山智史)
◆2020年8月21日 朝日新聞熊本版
https://digital.asahi.com/articles/ASN8N75JJN8NTLVB001.html
ー水害に強い危機感 流域市町村長がダム治水に決議ー
「川辺川ダム建設を含む抜本的な治水対策を講ずるべきである」。20日に開かれた川辺川ダム建設促進協議会に出席した球磨川水系流域の12市町村長は、中止されていた川辺川ダムの建設もあり得るとする決議を全会一致で採択した。7月の豪雨災害を経験した強い危機感を反映している。
蒲島郁夫知事が進めてきた「ダムによらない治水」方針への決別を迫る内容といえ、議長を務めた錦町の森本完一町長は取材に、「ダムがベストというわけではないが、ダムで防げるものなら防ぎたい。あれだけの豪雨災害があって、リーダーとして何か動かないわけにはいかない」と強調した。
2008年9月に知事がダム計画の「白紙撤回」を表明後、流域市町村と国、県はダム以外による治水を検討する場を設け、「球磨川治水対策協議会」に名を変えて検討が続いた。10年以上が過ぎても結論は出ず、昨年11月の協議会では首長たちから国や県に対し「スピード感が足りない」などの不満が出ていた。
そこを豪雨が襲い、川辺川ダム建設促進協議会はこれまでより踏み込んだ対応に出た。協議会顧問の松田三郎県議(自民)はあいさつで「(ダム建設は)ベストとは言わなくても、現実的にはベター(より良い)である」と訴え、県議会で知事に賛同を求める考えを示した。市町村長たちも県議会に意見書か請願書を出す方針で一致した。
一方、ダム計画で中心部が水没した五木村の木下丈二村長は「ダムの下流域になる市町村住民の意向を見守りたい」と話すにとどめ、ダム建設の是非には触れなかった。ダムに反対した前村長が脱会した同協議会に約10年ぶりに復帰した相良村の吉松啓一村長は「(ダムより前に)流域市町村と同じテーブルに戻り、今必要なことをするしかない」と、今後の論議の行方を見守る姿勢を示した。
松田県議は総会後の取材に、ダムを除いて治水が検討されてきた経緯に触れ、「住民の安心安全を守るために効果があるものは何か、その一つの選択肢としてダムも俎上(そじょう)に載せてほしい」と話した。(村上伸一)
◆2020年8月21日 毎日新聞熊本版
https://mainichi.jp/articles/20200821/ddl/k43/040/428000c
ー九州豪雨 「川辺川ダム建設含む治水対策を」 促進協が決議ー
九州豪雨で氾濫した熊本県の球磨川流域の2市5町5村でつくる「川辺川ダム建設促進協議会」(会長=森本完一・錦町長)は20日、災害発生後初の定期総会を錦町で開き、「県や国は川辺川ダム建設を含む抜本的な治水対策を講ずるべきだ」と決議した。
蒲島郁夫知事が2008年に同ダム建設計画の白紙撤回を表明してから県と国、流域市町村が続けてきた「ダムによらない治水」の検討について、同決議は「結論さえも見いだせない空白の時間だった」と振り返った。同ダムを建設していた場合に被害をどの程度防げていたかなどについて速やかに検証するよう求めた。【浅野翔太郎】
◆2020年8月21日 西日本新聞
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/637376/
ー「ダムなき治水」批判 球磨川流域12市町村、抜本的対策求めるー
7月の豪雨で氾濫した熊本県・球磨川の流域12市町村でつくる「川辺川ダム建設促進協議会」の定期総会が20日、同県錦町であり、建設が中止された川辺川ダムを含めて治水計画を再検証し、抜本的な対策を早急に行うよう国や県に求める決議を全会一致で採択した。
川辺川ダム建設が中止された2009年、国と県、流域自治体による「ダムによらない治水を検討する場」が発足。協議会は「建設促進」の名称を残した上で事業計画から「ダム建設」の文言を外し、治水対策の早期実施を要望してきた。
決議では「10年以上に及ぶ『ダムによらない治水』の検討の場は、結論さえも見いだせない空白の時間だった」と批判。「治水対策が分からなければ住民は生活再建を描けず、町づくりも進まない」として、早急な対策を求めている。(中村太郎)
ー球磨川流域の市町村長が議論 川辺川ダム建設促進協総会ー
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/637351/
離脱した相良村が復帰
熊本県錦町で20日開かれた「川辺川ダム建設促進協議会」の定期総会では、7月の記録的豪雨で甚大な被害を受けた球磨川流域の市町村長が顔をそろえた。川辺川ダム建設に当時の村長が反対を表明し、2017年に協議会を離脱した相良村も復帰。ダム建設を含めた治水対策の議論を国や県に求める方向で一致した。
総会では、空席だった会長に森本完一錦町長を選出。森本氏は「ダムによらない治水案の実現性に疑問を持っていたが、結論が出ないうちに災害が起きてしまった。住民が一刻も早く安心できる環境を整備するよう働きかけたい」と強調。協議会への復帰承認後に姿を現した相良村の吉松啓一村長も「流域住民が安全に生活できるよう、一緒に防災対策を進めていきたい」と述べた。
総会には、自民県連幹事長の松田三郎県議も顧問として出席。「ダム建設はベストでなくともベターである、という信念で会が存続してきた。今回の豪雨で賛成か、反対かという論争に終止符が打たれるのではないか」とあいさつした。(中村太郎)
◆2020年8月22日 熊本日日新聞
https://this.kiji.is/669700369047487585?c=92619697908483575
ー11月に豪雨復興プラン 熊本県、被災者の暮らし再建ー
熊本県の蒲島郁夫知事は21日、7月豪雨の被災者の住まい再建といった中期的な取り組みを示す「復旧・復興プラン」を11月をめどに策定する意向を示した。同日、庁内に設けた復旧・復興本部(本部長・蒲島知事)の初会合を開催後、明らかにした。
復旧・復興プランには復興後の地域の将来像や復旧の工程表などを盛り込む。県が策定するのは2016年4月に起きた熊本地震以来で、今回は球磨川流域住民の暮らしの安心安全や、なりわい再建などを柱に想定。具体的な取り組み内容やスケジュールを体系的に示したいとしている。
蒲島知事は「プランは復旧復興の哲学。策定することで安心安全なまちづくりや治水対策を具体的に描けるようになる」と強調。熊本地震時と同様に、発生から4カ月以内の策定を目指す方針を明らかにした。
プランは、25日に初会合を開く国、県、流域12市町村でつくる球磨川治水対策の検証委員会による検証と、熊本地震からの復旧復興策を検討する目的で設けている「くまもと復旧・復興有識者会議」の提言を踏まえて策定する方針。
有識者会議は30日に1年4カ月ぶりに開催することにしており、県は二つの組織での議論を急ぎ、スピード感を持ってプランづくりに臨む構えだ。
球磨川流域の治水対策を巡っては、流域市町村でつくる「川辺川ダム建設促進協議会」の定期総会が20日に開かれ、ダム建設を含めた抜本的な対策を求めることで意見が一致したばかり。この点について、蒲島知事は「流域の安心安全に責任を負う1人として真摯[しんし]に受け止め、国や市町村と連携して速やかに検証したい」と述べるにとどめた。(中尾有希)