八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

最上小国川ダム、上告棄却 差し止め訴訟、住民側の敗訴確定

 山形県営の最上小国川ダムの工事費差し止めを求める住民訴訟は、最高裁の決定で住民側の敗訴が確定したとのことです。一審山形地裁判決が昨年7月、二審仙台高裁が今年6月ですから、住民訴訟の審理が形骸化してしまっています。
 最上小国川ダムは「流水型(穴あき)」ダムとして今年3月に完成しています。清流として知られる最上小国川は、ダム建設による環境へのダメージが懸念されることから、漁協や釣り人などが反対してきましたが、山形県は事業を強行しました。
 最上川水系では今年7月に大きな水害が発生しましたが、最上小国川ダムがあってもなくても、治水効果はありませんでした。
 

◆2020年11月9日 NHK山形放送局
https://www3.nhk.or.jp/lnews/yamagata/20201109/6020008548.html
ーダム訴訟で住民側敗訴が確定ー

 山形県が最上町に建設した「最上小国川ダム」について、地元の住民などが建設費用を支出しないよう求めた裁判で、最高裁判所は上告を退ける決定をし、住民側の敗訴が確定しました。

「最上小国川ダム」は、温泉街がある最上町の赤倉地区などを水害から守るため、県が88億円余りをかけて建設しました。
地元の住民などでつくる自然保護団体のメンバーは、環境への影響が大きく、治水対策としても不要で、建設は違法だとして、5億1000万円余りの建設費用を支出しないことなどを求めました。
 1審の山形地方裁判所が訴えを退けたのに続いて、2審の仙台高等裁判所も、ことし6月、「県は、治水対策の手法や費用、それに環境への影響について、専門機関の調査や有識者の意見を考慮した上で、建設を決めている。知事がダムの建設を選んだのは合理的な裁量の範囲内で、支出は違法ではない」として、訴えを退けました。
 これについて、住民側が上告していましたが、最高裁判所第1小法廷の池上政幸裁判長は、9日までに退ける決定をし、住民側の敗訴が確定しました。

◆2020年11月10日 山形新聞
https://www.yamagata-np.jp/news/202011/10/kj_2020111000185.php
ー山形新聞最上小国川ダム、上告棄却 差し止め訴訟、住民側の敗訴確定ー

 県が最上町の最上小国川に建設したダムを巡り、反対派の住民らが県に工事費支出の差し止めなどを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(池上政幸裁判長)は住民側の上告を退ける決定をした。5日付。住民敗訴の一、二審判決が確定した。

 最上小国川はアユ釣りで知られる清流で、原告側はダムに土砂が堆積して生態系に悪影響を及ぼす恐れがあるほか、河川改修の方が効果的だと主張。県が2012年度に支出した費用の一部を、吉村美栄子知事に返還請求するよう求めた。

 一審山形地裁は昨年7月の判決で「アユの成育環境に重大な影響を及ぼすとはいえない」と指摘し、訴えを退けた。二審仙台高裁も今年6月「治水対策で河川管理者には広い裁量がある」と述べ、一審を支持した。

 原告団の高桑順一団長は9日、山形新聞の取材に応じ「上告を退ける決定は非常に残念だ。ダムの環境への影響は今後出てくると思うので調査を継続していきたい」と話した。吉村美栄子知事は「今後も県民の安全安心を確保するため、引き続き治水対策を推進するとともに、最上小国川の内水面漁業の振興や川を生かした地域づくりに努める」とのコメントを出した。

 川が増水した時にだけ水をためる「穴あきダム」で、総事業費は約88億円。今年4月に運用を始めた。