石木ダムについて、長崎県と共にダム事業を進める佐世保市の朝長則男市長が議会で新型コロナウイルス感染症を引き合いに、「事業の必要性・緊急性が高まっている」と発言したということです。ダムに反対する人々は、行政が発信する様々なデマを打ち消さなければなりません。佐世保市の市民団体、石木川まもり隊は公開質問書を市に提出しました。
★参考ページ
石木川まもり隊ブログより「コロナ対策で石木ダムが必要!?」
関連記事を転載します。
◆2021年3月9日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASP386TH2P38TOLB003.html
ーコロナで石木ダムの必要性増す? 市長発言の根拠ただすー
長崎県と佐世保市が川棚町に計画している石木ダムについて、同市の朝長則男市長が3月定例議会で新型コロナウイルス感染症を引き合いに「事業の必要性・緊急性が高まっている」と発言した。計画に反対する川棚住民を支援する市民らは8日、「実態は逆。世論誘導的な発言だ」として根拠を示すよう市に申し入れた。市は即日、回答したが、市民らは「本質から外れている」として、再回答を求める意向だ。
朝長市長は2月26日の施政方針説明で、石木ダムによる新規水源の確保について「昨今の感染症対策で求められる公衆衛生の役割や疲弊した市民生活や地域経済の中での渇水の影響を考えると、事業の必要性・緊急性はますます高まってきている」と発言した。
しかし、市が議会に提出した資料で、今年度の2月までの11カ月間の給水量実績を、コロナ前の2019年度の各月と比べると、このうち7カ月はむしろ数%減っていた。あとの4カ月も、0・1~0・5%の微増にとどまっていた。一方、総配水量の予測では2021年度は、今年度比で97・9%と減少を見込んでいる。
石木ダム建設予定地の住民を支援する「石木川まもり隊」の関係者ら12人は8日朝、市役所前で市長発言に疑問を投げかけるビラをまき、市に市長発言の具体的な根拠や、こんごの給水量の見通しについて公開質問状を出した。
まもり隊代表の松本美智恵さんは取材に対し、「在宅で家庭での水使用量は増えただろうが、休業や時短営業で事業所の使用量は減ったと思われ、データもそれを裏づけている。水使用が増えたという漠然としたイメージに便乗した世論誘導的発言だ」と指摘した。
質問の回答期限は19日だったが、市は8日午後に回答を寄せた。質問状は一部の新聞報道に依拠したもので、報道にあった「公衆衛生面で水需要が高まると予測し」といった発言はしていないとする内容だった。
まもり隊は「市長は『必要性・緊急性が高まっている』と言っており、これは水需要が高まるという意味と解するのがふつう。記事の表現の適否は別として、これでは私たちの疑問の本質に答えていない」と批判。改めて回答を求める考えだ。(原口晋也)
◆2021年3月9日 長崎新聞
https://this.kiji.is/741836661250703360?c=174761113988793844
ー石木ダム建設事業 コロナ感染対策に水需要「疑問」 佐世保市に市民団体ー
長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、ダムに反対する市民団体「石木川まもり隊」は8日、市が水源確保の理由の一つに新型コロナウイルスを含む感染症対策を挙げ「事業の必要性、緊急性は高まっている」と主張したことに対し、「水需要が高まるのかは疑問」とする公開質問状を市に提出した。
質問状は朝長則男市長宛て。朝長市長は2月26日の市議会本会議で新年度の施政方針を説明。新たな水源確保について、うがいや手洗いなど感染症対策で求められる公衆衛生の役割などを挙げ、「渇水の影響を考えると事業の必要性、緊急性はますます高まってきている」と述べた。
質問状では「うがいや手洗いで水使用量は増えるが、人口減少や経済悪化などの影響も考えると全体の水需要が高まるのか疑問」と指摘。新型コロナが拡大した昨年4月から今年2月までに家庭や事業所などで使った水量や、感染症対策に必要な水量などをただした。質問状を受け取った市秘書課の稲富泰彦課長は「対応できる分は対応する」と述べた。
市民団体の松本美智恵代表は「休業や時短営業で店舗などの水使用量は減少したはず。感染症とダムを結び付けて事業を進めようとしている」と話した。