昨年の球磨川豪雨について、流域住民などのグループが熊本県に対して、被害の拡大要因を共同で検証するよう要望しました。
住民らは専門家らと共に行った検証結果をもとに、被害拡大は球磨川の川辺川以外の支流の氾濫が原因であり、仮に川辺川にダムがあっても、亡くなった50名の殆どは助けられなかったと訴えています。しかし、球磨川水害以降、国土交通省の力なしには復興は不可能と考える熊本県は、川辺川のダム建設に邁進する国に従う姿勢です。国は水害の犠牲者のそれぞれの死因を具体的に調べておらず、ダム計画に不都合な検証には熊本県も後ろ向きです。八ッ場ダム事業が推進された際の国土交通省と群馬県の関係を思い出します。
◆2021年11月6日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASPC57288PC5TLVB006.html
ー市民団体が県に共同検証を提案 球磨川洪水 第四橋梁の影響などー
昨年7月の記録的豪雨による球磨川の洪水について、市民団体「清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会」など4団体は、熊本県に共同検証を提案した。県や国による検証では球磨川第四橋梁(きょうりょう)が災害へ与えた影響に一切触れていないと指摘している。
市民団体のメンバーらが4日、共同検証を求める文書を県に提出した。市民団体によると、昨年の豪雨では球磨川と支流川辺川の合流点付近にあるくま川鉄道の第四橋梁に流木などが大量に引っかかり、上流側はダムのようになった。橋の流失とともにたまっていた水などが一挙に津波のように下流へ流れ、被害を拡大させたとしている。
市民団体による住民への聞き取りでは、合流点より上流の周辺住民から「ドーンという音とともに一気に水が引いた」などの複数の証言があったという。市民団体は、第四橋梁の影響や球磨川流域で50人と推定される犠牲者がどのようにして命を落としたのかという事実の解明、市房ダムの効果や限界、ダム放流の危険性についての共同検証を求めている。
国や県、流域12市町村は災害後の昨年8月と10月の計2回、豪雨を検証する委員会を開催。川辺川ダムが仮に建設されていた場合、人吉市中心部と隣の球磨村の一部の浸水面積を6割程度減少できたなどとする推計結果を公表した。
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現地を視察した今本博健・京都大名誉教授(河川工学)の話 周辺の氾濫(はんらん)状況から見ても第四橋梁が被害を助長した可能性はある。球磨川は1級河川で国が主導して調査している。国は調査能力があるが、県も地元という立場から人吉の災害がどうだったか調べておくことは大事だ。地元の人と協力しながら調査するのは、これからの災害調査の一つのモデルにもなる。ダム問題を切り離して、実態がどうだったかをまずつかむべきだ。ぜひ実現してほしい。(伊藤秀樹)
◆2021年11月4日 RKK熊本放送
https://news.yahoo.co.jp/articles/fc8f1c2430ecc4896e7ac64d0cf262f2c3d52b03
ー7月豪雨 住民団体が県に共同検証を要望【熊本】ー
去年7月の豪雨からは4日で1年4か月です。
球磨川の流域住民などでつくるグループが、被害拡大の要因を共同で検証するよう県に要望しました。
「(7月豪雨で)どんなふうに水がきてどんなふうに命が失われたのか。一緒に現地を歩いて検証していただけると県にも理解していただけるのでは」(清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域群市民の会事務局 長木本雅己さん)
住民団体は、7月豪雨では球磨川と川辺川の合流地点にある「くま川鉄道第4橋梁」に流木などが押し寄せて水をせき止め、橋が流失したのと同時に大量の水が人吉市街地を一気に襲い被害を拡大させたと主張しています。
このほか、当時の住民の避難行動や市房ダムの効果など、これまで住民団体が独自に行ってきた検証を改めて県と共同で進めることも求めました。
共同検証について、県は「検討する」という回答に留めています。
◆2021年11月5日 熊本日日新聞
https://kumanichi.com/articles/458526
ー球磨川流域の被害、熊本県に共同検証提案 人吉市の4市民団体ー
昨年7月の豪雨について、熊本県人吉市の市民団体「清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会」など4団体は4日、球磨川流域の人的被害を共同検証するよう県に提案した。
球磨川流域の犠牲者は50人。4団体は「原因究明なしに新たな洪水への的確な対処はできない」と指摘した。死亡に至る経緯や住民の避難行動、今後の対策の検証を想定している。
4団体は、球磨川と支流川辺川の合流点で流失したくま川鉄道の球磨川第四橋梁[きょうりょう]の上流側にたまった大量の水が下流の人吉市街地に一気に流入し、被害を拡大させたと分析。橋梁が被害に与えた影響のほか、市房ダムの効果と放流についても共同検証を求めた。
流域郡市民の会の木本雅己事務局長(70)らが県庁を訪れて提案書を提出。県河川課などは「国や流域市町村と情報共有する」としている。(臼杵大介)