昨日、群馬県庁記者クラブにおいて、八ッ場ダムの事業費増額に関する記者レクを行いました。
その配布資料の冒頭部分を掲載します。
★詳細な解説と資料は「事業費増額」のページに掲載しました。
https://yamba-net.org/wp/problem/meisou/zougaku/
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八ッ場ダムの事業費増額について
八ッ場あしたの会
国土交通省関東地方整備局が8月6日に発表した第5回八ッ場ダム基本計画変更案は、工期を2015年度から2019年度に延長するものですが、八ッ場ダムの検証では事業費増額の試算結果も示されており、近いうちに事業費増額の第6回基本計画変更案が提示されることは必至です。
八ッ場ダムの検証で示された事業費増額の試算結果は次の通りでした。
① 工事中断や工期遅延に伴う増額 55.3億円
② 契約実績や物価変動等による減額 -21.7億円
③ 追加的な地すべり対策による増額 109.7億円
④ 代替地の安全対策による増額 39.5億円
計 約183億円
地すべり対策による事業費増額と工期延長の可能性
上記の③、④の地すべり安全対策について関東地方整備局は実際に必要となるか、不確定なものだという趣旨のことを述べていますが、それは八ッ場ダムの検証の信頼性を自ら否定するものであり、また、住民の安全に関わることについてあまりにも無責任です。
現在の基本計画に組み込まれている地すべり対策費は2004年変更時のコスト縮減の結果、わずか5.8億円にとどめられていますので、貯水池予定地周辺の地質がきわめて脆弱な八ッ場ダムは、地すべり対策の大幅な増額は避けられません。また、その対策工事のため、工期が大幅に延長される可能性が十分にあります。
奈良県の大滝ダム(国土交通省)では試験湛水により、地すべりが発生して38戸が移転を余儀なくされ、その後、延々と地すべり対策が行われて、工期は2003年度から2012年度へと、約9年延長され、308億円の地すべり対策費が追加されました。
埼玉県の滝沢ダム(水資源機構)も試験湛水後に地すべりが次々と起きて、その対策工事のため、工期が2005年度から2010年度へと、約5年延長され、145億円の地すべり対策費が追加されました。
八ッ場ダムでも仮に今回の変更案のとおりにダム本体が2019年度半ばに出来上がっても、その後の半年間の試験湛水で地すべりが起きれば、その対策工事に追われてダムの完成が2020年代半ばか後半になることも考えられます。
事業費の増額は上記の①~④および地すべり追加対策費だけではすみません。
さらに、次の3つの増加要因があります。
Ⅰ 代替地の整備費用の大半の負担 80億円程度
Ⅱ 東電への減電補償 130~200億円以上
ⅲ 八ッ場ダムの「吾妻川の流量維持」の目的がなくなることによる97億円の負担問題
(記者会見の内容は、上記三つの増額要因についての説明でした。)