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人吉市長選に元職・田中氏が出馬へ 熊本豪雨踏まえ「人吉を立て直す」

 2020年の球磨川水害で20人の犠牲者を出した人吉市では、今年4月の市町選に元市長のするとのことですするとのことです。
 田中氏は現職だった2008年に球磨川の最大支流に計画されていた川辺川ダム建設の白紙撤回を国に求めました。田中氏の表明がその後の熊本県知事による川辺川ダム白紙撤回表明へと繋がりました。
 熊本日日新聞の下記の記事によれば、今月12日の記者会見で田中氏は、「球磨川の支流川辺川に国が計画している流水型ダム建設について「個人的には反対だが、市民のさまざまな意見を聞くため中立で臨む」と強調。市長就任後に公開討論会を開くなどして賛否を判断する」と語ったとのことです。西日本新聞では、「12日の記者会見では「ダムでは命も環境も守れない」と訴える一方で「市民に賛成、反対の意見がある中で、両者の意見を数値化して判断したい」と説明。」と伝えています。

 球磨川水害では50人もの犠牲者が出ましたが、流域住民や専門家の詳細な調査結果によれば、仮に川辺川ダムがあったとしても人吉市内も含めて犠牲者のほとんどの方の命を救うことはできなかったということです。新たな流水型川辺川ダム計画は、河川環境を破壊し、川と共に暮らしてきた人吉盆地の人々の生活を根底から変えるものです。また、水害後、川辺川ダムと共に進められることになった様々な治水対策も人々の暮らしに大きな影響を与えます。田中氏は人吉市内の復興事業についても次のように異を唱えています。

 熊本日日新聞
「田中氏は市内で記者会見し、2020年熊本豪雨を踏まえ「被災者の一日も早いなりわいや生活再建を進め、人吉を立て直す」と出馬理由を説明。中心市街地の復興事業で市が計画する一部区域の宅地かさ上げは防災面に課題があるとして「白紙化する」と述べた。」

 西日本新聞
「市と県が進める中心部の一部かさ上げ計画については、隣接地域の水害を助長するとして中止する考えを示した。」

 2020年の水害直後、まだ川辺川ダム計画の復活が確定していなかった時期の田中氏へのインタビュー記事をこちらで紹介しています。

〈参考〉川辺川ダムに反対した前・人吉市長へのインタビュー記事(西日本新聞)(2020年11月16日)

◆2023年1月12日 熊本日日新聞
https://kumanichi.com/articles/913184
ー人吉市長選に元職・田中氏が出馬へ 熊本豪雨踏まえ「人吉を立て直す」ー

 統一地方選後半の4月16日告示、同23日投開票の人吉市長選に、元職で会社役員の田中信孝氏(75)=鬼木町=が12日、無所属で立候補する意向を明らかにした。市長選への出馬表明は元衆院議員の矢上雅義氏(62)、現職の松岡隼人氏(45)に続いて…(以下略)

◆2023年1月13日 西日本新聞
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1039715/
ー熊本・人吉市長選、元職の田中氏が立候補表明ー

 4月の統一地方選で実施される人吉市長選に、元市長で葬祭会社役員の田中信孝氏(75)が12日、無所属で立候補すると表明した。川辺川の流水型ダム建設については、個人としては反対だが、行政の長として中立的な立場で公開討論会を開いて判断するとした。

 田中氏は現職だった2008年に川辺川ダム建設の白紙撤回を国に求めた。12日の記者会見では「ダムでは命も環境も守れない」と訴える一方で「市民に賛成、反対の意見がある中で、両者の意見を数値化して判断したい」と説明。市と県が進める中心部の一部かさ上げ計画については、隣接地域の水害を助長するとして中止する考えを示した。

 田中氏は人吉市出身。07年市長選で初当選し、3期目を目指した15年市長選で現職の松岡隼人氏(45)に敗れた。同市長選への立候補表明は松岡氏、新人で元衆院議員の矢上雅義氏(62)に続き3人目。 (中村太郎)

◆2023年1月12日 テレビ熊本
ー人吉市長選挙 元職・田中信孝氏が出馬表明ー

 今年春の人吉市長選挙に元職の田中 信孝さんが立候補する意向を明らかにしました。

 田中 信孝さんは人吉市出身の75歳。2007年に初当選し、2期8年務め、2015年の選挙で落選。2019年にも出馬し、現職に敗れました。

会見で田中さんは「豪雨で被災した生活やなりわいを再建してほしいという多くの市民の声を聞き、決意した」と述べ、川辺川に建設予定の流水型ダムについては、政治家としては中立とした上で、「個人としてはダムで命と環境は守れない。清流・球磨川を守り抜くことが人吉にとって一番大切」と話しました。

人吉市長選には、これまでに現職の松岡 隼人さんと元衆議院議員の矢上 雅義さんが出馬を表明しています。