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阿蘇の立野ダム、4月打設完了、試験湛水は11月以降と国交省

 熊本県の阿蘇くじゅう国立公園で建設中の立野(たての)ダム事業では、事業主体である国土交通省九州地方整備局が11月以降に試験湛水を行う方針と報じられています。
 ダムの建設地は阿蘇くじゅう国立公園内にあり、熊本地震の被災地でもあることから、環境破壊、ダムによる災害の危険性を懸念する熊本の人々の反対運動が続いてきました。
 
画像=国土交通省立野ダム工事事務所HPより

 立野ダム事業ではこうした批判をかわすため、八ッ場ダムと共にインフラツーリズムに力を入れ、自然に優しいと謳われている流水型を選択しました。ダム本体のコンクリート打設は4月には完了する見込みとのことです。

 流水型ダムはダム堤に穴を開けるので、通常は穴を通して川の水が流下します。流れが止められるのは洪水の時のみであるため、河川環境への影響が少ないと説明されているのですが、流水型ダムの歴史は浅く、環境への影響は未知数です。以下の朝日新聞サイトにはダム堤周辺の写真が10枚掲載されていますが、流水型と言っても川の流れを遮ることには変わりなく、環境への影響は免れないことがわかります。
 
◆2023年2月10日 朝日新聞
 https://www.asahi.com/articles/photo/AS20230209004422.html?iref=pc_photo_gallery_prev_arrow

 https://www.asahi.com/articles/ASR296V9MR27TLVB004.html?iref=pc_photo_gallery_breadcrumb
 ー熊本・立野ダム「再転流」 白川の流れ、ダム通り抜けー

◆2023年2月8日 テレビ熊本
https://www.fnn.jp/articles/-/483405
ー立野ダム試験湛水検討委員会が初会合 国が計画案示すー

 白川上流に現在、建設中の国が直轄する初の流水型ダムである立野ダムについて運用開始を前に試験的に水を貯める『試験湛水』の検討委員会の初会合が8日、熊本市で開かれました。

 建設中の立野ダムは、ことし4月にはダム本体の設置が完了する予定です。

 運用開始を前に試験的に水を貯める、いわゆる『試験湛水』は貯水時のダムや周辺の安全性などを調べるために行われますが、一方、水位が上がることで群生する植物などへの影響が懸念されます。

 検討委員会で国土交通省は環境への影響を配慮し、「可能な限り『試験湛水』の期間を短縮したい」と話し、過去20年間のシミュレーションによる計画案を示しました。

 案では11月1日から実施した場合、湛水日数は平均14日で最長でも20日と期間も短く、ばらつきも少ないとし、群生する植物も8割から9割の成育が維持されるとしています。

 委員からは「植物への影響はしっかりと調査しデータを取ってほしい」「国交省が示した樹木への影響のデータは根拠が弱い。今後のためにもデータの収集が必要」などの意見が挙がりました。

 今回の意見を踏まえて再度協議し、11月ごろには『試験湛水』を行う予定です。

◆2023年2月10日 熊本日日新聞
 https://kumanichi.com/articles/942343
ー立野ダム試験湛水、11月以降実施方針 国交省ー

◆2023年1月19日 朝日新聞
 https://www.asahi.com/articles/ASR1M0CG7R1KTLVB007.html
 ー熊本・立野ダム4月完成へ 150人「通り抜け」楽しむー

◆2022年12月9日 NHK熊本放送局
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20221209/5000017704.html
ー建設が進む立野ダム 見学者1万人で記念セレモニーー

 南阿蘇村と大津町にまたがって白川の上流で建設が進められている「立野ダム」の建設現場の見学者が9日、1万人に達し、記念のセレモニーが行われました。

 立野ダムは、白川の治水対策のため南阿蘇村と大津町にまたがって建設が進められています。
 9日は、福岡県立八女工業高校の1年生およそ40人が建設現場を訪れ、見学者が1万人に達しました。
 生徒たちは国土交通省の立野ダム工事事務所の職員に出迎えられ、記念品が贈られたほか、記念撮影が行われました。
 その後、立野ダムの事業について説明を受けてダムの近くの展望所まで移動しました。

 展望所は川底から高さ70メートルの位置からダム本体の工事のようすを見ることができ、生徒たちは、大雨が降った際、洪水が起きないように水量を調整するのためのダムであるということや、周りの自然環境や景観に配慮しながら作業しているなど、工事事務所の職員から説明を受けました。
 女子生徒は「貴重な1万人目のときに大規模なダムの建設を見ることができたので、これからの学びに生かしていきたい」と話していました。

◇参考(国土交通省立野ダム工事事務所ホームページより)

〇立野ダムの諸元