八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

改名した「阿蘇立野ダム」完成式典

 国交省は熊本地震の被災地で県民の反対運動を無視してダム建設を強行し、完成式典を執り行いました。かつては反対意見を取り上げていたマスメディアの多くも、巨大構造物の祝祭的な式典にすっかり記者が心を奪われているせいか、立野ダムの不要性や災害リスクなど、本来メディアが伝えるべき問題をほとんど取り上げなくなりました。
 立野ダムは八ッ場ダムと共に、観光庁がダム観光に力を入れて来たダムです。ダムそのものは全国の他のダムとそれほど変わりはありませんが、わが国有数の観光地に囲まれていることから、潜在的な人の流れがあり、誘客も容易なためでしょう。

◆2024年2月17日 NHK熊本放送局
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20240217/5000021333.html
ー改名した「阿蘇立野ダム」完成式典 白川の治水対策 南阿蘇村ー

 熊本市などを流れる白川の治水対策として、長年、建設が進められていた立野ダムが完成して記念の式典が開かれ、名称が「阿蘇立野ダム」と改められました。
 このダムは水害を繰り返してきた熊本市などを流れる白川の治水対策として昭和58年に南阿蘇村と大津町にまたがる白川の上流で国が建設事業を始めました。
 
 総工費は1270億円、およそ40年かけて完成し、17日南阿蘇村で記念の式典が開かれました。
 このなかで蒲島知事は「気候変動の影響で水害が激甚化、頻発化する中、立野ダムは将来にわたって下流を水害から守る大きな役割を果たしてくれると確信しています」と述べました。

 ダムは「立野ダム」として建設が進められましたが、17日の式典で名称を「阿蘇立野ダム」とすることが発表されました。
 環境への影響を低減するため常時水を流し、大雨の時のみ水を貯める「流水型ダム」で、高さはおよそ90メートル、幅がおよそ200メートルあり貯水量はおよそ1000万立方メートルです。
 先月から今月にかけて行われたダムを満水にする試験湛水では異常はなく、ことし4月から本格運用が行われる予定だということです。

◆2024年2月18日 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/local/kumamoto/news/20240217-OYTNT50205/
ー阿蘇立野ダムの完成祝う 4月から本格運用開始ー

 南阿蘇村と大津町にまたがる白川で国が建設を進めていた立野ダムが完成し、17日、現地で完成式が行われた。ダムの名称を「阿蘇立野ダム」に変更することが発表された。4月から本格運用を開始する。

 普段は川の水をためずに下流に流す「流水型ダム」で、高さ87メートル、幅197メートル、総貯水容量は1010万立方メートル。死者・行方不明者422人を出した1953年の「白川大水害」を機に計画され、83年に建設事業に着手した。熊本地震などの影響もあって本体工事の着工は2018年にずれ込んだが、昨年5月に打設工事が完了した。

 その後、ダム上部の道路整備や今年1~2月に実施された機能や安全性を確認する「試験 湛水たんすい 」などを経て完成。本格運用が始まる4月からは、ダム周辺の展望所などが一般公開される。

 完成式で、斉藤・国土交通相が「ダムの完成で白川の安全度はさらに高まると確信している。観光資源として寄与することも願っている」とあいさつ。出席者は、地元の要望を受けて付けられた「阿蘇立野ダム」の看板を除幕し、万歳三唱をして完成を祝った。

◆2024年2月5日 朝日新聞デジタル
https://digital.asahi.com/articles/ASS2477HXS24TLVB001.html
ーまたとない景色…試験湛水で満水の立野ダムにぎわうー