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(独)水資源機構、木曽川導水路の事業費2.5倍、2270億円と試算

 水需要が減少の一途をたどっていますが、木曽川導水路事業の主目的は「都市用水の開発」です。河村たかし名古屋市長は初当選した2009年に事業からの撤退を表明しましたが、昨年、容認に転じたことから、事業にゴーサインが出されました。
 木曽川導水路は岐阜県に建設されたわが国最大規模の徳山ダムの水を木曽川に流すことを目的としています。2008年に完成した徳山ダムも、木曽川導水路と同様、(独)水資源機構による水源開発事業でしたが、導水路が完成しないと下流の愛知県や名古屋市はダムの開発水を使えません。
 そのため、河村市長自身、今も徳山ダムは無駄だったと認めつつ、ダムを「造ってまったで」(東海テレビ)使わなければという理屈で導水路事業を容認しました。

愛知県サイトー「木曽川導水路事業の概要等」より

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 名古屋市は徳山ダム事業に約525億円の負担金に加え、昨年時点で新たに木曽川導水路事業の負担金が130億円加わるとのことでしたが、今回の水資源機構による試算により、名古屋市の負担金は事業費増額に応じて増えることになります。


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◆2024年3月28日 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20240328/k00/00m/040/153000c
ー徳山ダムの木曽川導水路、建設費が2.5倍に 2270億円と試算ー

 徳山ダム(岐阜県揖斐川町)の水を揖斐川から木曽川に流す導水路建設を巡り、国土交通省中部地方整備局や関係自治体による会合が28日、名古屋市内で開かれ、事業主体の水資源機構が導水路建設の総事業費の試算を2270億円と示した。当初の890億円から約2・5倍に膨れ上がった。

 同機構によると、増大の理由は近年の物価高騰や人件費の増大に加え、消費税が当時の5%から10%へ上がったことなどがあるという。当初の890億円は2006年度の単価で計算された数字だった。一方、総工期は調査や用地補償も含め計12年と示された。

 導水路は、木曽川と長良川の渇水対策や河川環境改善のため、上流に全長約43キロ、下流に全長約1キロのトンネルを建設する計画で、2009年度着工、15年度完成の予定だった。しかし、名古屋市の河村たかし市長が09年に撤退を表明。その後、当時の民主党政権が事業を凍結していたが、河村市長は昨年2月、一転して容認に転じた。市は昨年5月、会合でおいしい水道水の安定供給▽流域治水の推進▽堀川の再生--の新用途を挙げて、中部地整や関係自治体から異論は出なかった。【川瀬慎一朗】