2020年の球磨川水害後、ゾンビのように復活した川辺川ダムの水没予定地と建設予定地の村を熊本県の木村知事が訪問したとのニュースが流れています。
熊本県では3月24日に知事選が実施され、新たに木村氏が知事に就任しました。木村氏は選挙当時から川辺川ダムを推進してきた蒲島・前知事の方針を受け継ぐと明言していました。五木村の水没予定地ではすでに全世帯が移転済みですが、これまでダム計画が二転三転し、五木村も相良村も翻弄されてきた経緯があるだけに、ダムへの賛否を未だ明らかにせず、慎重な姿勢を示してきました。
報道によれば、木村知事は県内の自治体の中で最初に五木村を訪問したということです。ダムによる犠牲が最も大きな五木村の去就が県政上の最重要課題ということなのでしょう。県知事訪問は五木村から見ればプレッシャーとも受け取れるものです。人口減少に苦しむ小さな村は、国のダム計画を受け入れざるを得ないところへ追い詰められています。
〈参考記事〉「川辺川ダムの水没予定地かかえる熊本県五木村、ダム建設に同意へ」(毎日新聞より)
◆2024年4月18日 NHK熊本放送局
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20240418/5000021828.html
ー木村知事 流水型ダムめぐり五木村と相良村を訪問し意見交換ー
球磨川の治水対策として国が建設する流水型ダムをめぐり、熊本県の木村知事は地域の一部が水没すると想定されている五木村を訪れ、村長などと意見を交換しました。
16日、就任した木村知事は初めての市町村への訪問として、18日、五木村と相良村を訪れました。
このうち、五木村は球磨川の治水対策として国が建設する流水型ダムによって貯水時に一部が水没すると想定されていて、木下丈二村長は今月21日にダムを受け入れるか表明する考えを明らかにしています。
18日は木村知事と五木村側の間で意見交換が行われ、これまでに村が県などに提出した振興策の要望書を踏まえ、出席した村の議員などから人口減少が加速するなか、もっと具体的な振興策を示してほしいとか、振興に欠かせない交通網を改善してほしいといった意見が出ていました。
これに対して木村知事は「村の未来を今後どうつくっていくか、腰をすえて一緒に取り組んでいきたい」などと答えていました。
意見交換の終了後、木下村長は「すでにわれわれの要望に対する県などからの回答をもらっているが、村民の目にも見えるような形で、早く進めてほしい」と述べました。
【木村知事 流水型ダム建設予定地の相良村も訪問】
木村知事は、18日、五木村に続いて、流水型ダムの建設予定地である相良村も訪問しました。
相良村は球磨川の治水対策として支流の川辺川に国が建設する流水型ダムの予定地となっています。
熊本県は、道路の整備などこれまでに相良村が提案した施策にもとづいた振興策に取り組んでいます。
18日は木村知事と相良村との間で意見交換が行われ、相良村の吉松啓一村長は県が引き続き振興策に取り組むとともに、川辺川の水質を維持するための対策などについて要望しました。
木村知事は「知事が変わっても、相良村の振興に全力で取り組む気持ちは変わらない。目に見える形で事業が進むよう全力で取り組みたい」と答えていました。
相良村はこれまで五木村と同じく流水型ダムの建設について賛否を示していませんが、18日の意見交換の終了後、吉松村長はダムを含めた球磨川の治水対策について、「県や流域の市町村などの総意として進められていると認識している」と述べ、今後も建設の賛否は示さず、国や県が住民に直接説明する機会を設けたいという考えを示しました。
【五木村と相良村での意見交換のあとの木村知事の話】
木村知事は、五木村と相良村での意見交換のあと、「知事としてブレずに2つの村の課題にしっかり向き合うことが重要だと思っている。ダムをめぐる両村の長い苦難の歴史を基礎におきながら、いま抱えている課題への支援を実行していくことで県としての姿勢を示していきたい」と述べました。
◆2024年4月18日 熊本朝日放送
https://news.goo.ne.jp/article/kab/region/kab-20240418-00009470.html
ー熊本・木村知事「県政によって二転三転」陳謝 五木村、相良村訪問ー
熊本県の木村敬知事は、、就任後初めて、五木村と相良村を訪れました。ダム計画について陳謝する場面もありました。
木村知事
「県政によって、村政、村民の心が二転三転したこと、その原因を担う県としておわび申し上げるとともに、県としても責任を果たしてまいりたい。見つけた課題、要望事項がありましたら、県に申し出てください。これからの未来に県はしっかり寄り添っていくことをお約束いたします」
着任後、最初に訪問する自治体として五木村役場を訪れた木村知事は、木下丈二村長らと面会しました。
川辺川のダム計画をめぐっては、蒲島前知事が、2008年に建設の白紙撤回を表明しながら、熊本豪雨の被害を受けて、一転して建設の意向を表明した経緯があります。
木下村長
「歴史を踏まえたら、ダムの計画が昭和41年にスタートして、多くの人口が流出した。大きな痛手を受けた。その影響は今でも続いている。振興に力をいれていただき、村づくりに力をいれていただきたい」
木下村長は、ダム計画の賛否を明らかにしていませんが、21日に開く村民集会で考えを表明するとしています。
木村知事は、その後、相良村を訪れ、吉松啓一村長とも意見交換しました。
吉松村長は、ダム計画への賛否について「国や県が進めている事業なので、賛成も反対もしない」と述べました。
今後、ダム計画について、国や県の担当者を招いて、住民説明会を開くとしています。