国土交通省九州地方整備局は5月16日、川辺川ダムの事業認定を国土交通大臣に申請しました。事業を進めるには、すべての事業用地を確保する必要がありますが、事業に反対する地権者などがいれば、事業者(川辺川ダムの場合は国交省九州地方整備局)は事業を進めづらくなります。しかし認定されると、地権者や漁協が反対していても法律上では事業者(九州地方整備局)が強制収用することが可能になります。
川辺川ダム事業では、かつて流域の川漁師らがダム建設に反対して、ダム中止を求める大きな運動の一端を担いました。かつて反対した方の中には亡くなった方々もおられますが、2020年の球磨川水害以降、新たに復活した川辺川ダム計画においても、反対を貫き、清流を次代に手渡すことの重要性を訴える川漁師さんたちがいます。
〈参考ページ〉
川辺川ダムを守る県民の会ホームページより
球磨川漁協とダム 知っていますか?許せますか? 漁協の実態
◆2025年6月4日 熊本日日新聞
https://kumanichi.com/articles/1791579
ー「公聴会の開催を」 川漁師2団体が国に要請 川辺川の流水型ダムでー
球磨川漁協の一部組合員でつくる2団体は4日、球磨川支流の川辺川の流水型ダム計画で、事業主体の国土交通省九州地方整備局が土地収用法に基づく事業認定を申請したことに抗議し、公聴会の開催を求める文書を国交省に提出した。 文書は「川辺川・球磨川を守る漁民有志の会」と「下球磨・芦北川漁師組合」の連名で、「ダム建設で河川環境と生態系の不可逆的な悪化が起こりうる」と主張。(以下略)
◆2025年6月4日 RKK熊本放送
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/rkk/1957251?display=1
ー「ダムは環境に影響を与える」アユ漁師などが熊本県や国に意見書 川辺川ダム事業認定申請でー
「川辺川に建設が予定されている流水型ダムの影響で漁業被害の可能性がある」として、地元のアユ漁師などが熊本県に対し、事業認定しないよう意見書を提出しました。
6月4日、熊本県に意見書を提出したのは、人吉市や相良村(さがらむら)でアユ漁に関わる二つの団体です。
川辺川・球磨川を守る漁民有志の会 吉村勝徳代表「環境に影響を与えないダムなんて、絶対にあり得ないということを、ここで断言させてもらいます」
川辺川ダムは、2020年7月の豪雨で氾濫した球磨川流域の治水策として国が建設を予定していて、5月には土地収用法に基づく事業認定を国土交通大臣に申請していました。
これに対し、二つの団体はダム建設でアユの生態系への影響が懸念されることから事業認定しないよう県に要望しました。
さらに、国土交通省へは「環境への影響を懸念する声に十分な回答がなかった」として、意見を聞く場である公聴会の開催を求めています。
◆2025年6月4日 熊本朝日放送
https://news.yahoo.co.jp/articles/467bdc96efb2a204e8e5dc4e7a97c0168ba1d98e
ー「アユがとれなくなる」川漁師が流水型ダム計画めぐり意見書 川への影響を懸念ー
川辺川で進む流水型ダム計画に対し、5人の川漁師が反対を訴えました。
川漁師
「環境に影響を与えないダムなんてありないと断言する」
5月に国土交通省九州地方整備局が土地収用法に基づく事業認定を国土交通大臣に申請したことを受けて、球磨川水系の川漁師団体2団体が熊本県に意見書を提出。川漁師5人が会見を開きました。
川漁師
「アユとりができない、そういうことになるのが一番怖い。流水型ダムでも濁ると私は思う」
意見書では、他の流水型ダム完成後の実例を根拠に、ダム建設による水質悪化やエサの減少によるアユの生息数の激減を懸念し、強制的に土地収用が可能になる事業認定を行わないよう要望しています。
国交省九州地方整備局は、ダムを建設してもアユの遡上は可能とする実験結果を公開していますが、川漁師らは、ダム建設によって川底に泥がたまり、アユの質が悪化するとしています。