佐世保市は長崎県営・石木ダムの共同事業者として、13世帯の住民の土地や家屋を強制収用しなければ進められないダム事業に参画しています。
佐世保市が石木ダム事業による「都市用水の開発」を目的としているからですが、人口が減少し、水需要も年々減少し、石木ダムは佐世保市にとって事業費の負担に見合わない事業です。不要なダム事業に参画し続ける結果、水道料金は10年後には二倍近くになるとの予測もあります。
このほど、佐世保市は来年度の水道料金値上げを公に提案したとのことですが、「御用学者」中心の検討委員会で市民の反応を危惧し、値上げ幅が反発を呼ばない方策が検討されたようです。
◆2025年6月10日長崎新聞
https://www.nagasaki-np.co.jp/kijis/?kijiid=d4e536389de443bc9eddcf9ad3e703b8
ー水道料金の28%値上げを提案…佐世保市水道局が来年度から、第三者委は増額幅に異論ー
佐世保市水道局は来年度からの水道料金について、9日開いた第三者委「市上下水道事業経営検討委員会」の会合で、28%増の大幅値上げを提案した。老朽管路の更新や石木ダム建設といった水源確保の事業費を盛り込んだ投資計画を進めるためとしている。検討委は「値上げ自体はやむを得ない」とおおむね了承した。値上げ幅の妥当性については異論が出て、次回会合でさらに協議することになった。
料金改定が議会での議決などを経て正式に決まれば2010年度以来となる。28%増の一律改定となった場合は、市内一般家庭の平均的な1カ月の水道料金4195円は1175円増の5370円となる見通し。
委員からは「いきなり3割近く上がるのは抵抗がある」との声が上がり、委員長の横山均・県立大教授は水道局に値上げ幅を抑える工夫を次回会合までに検討するよう要請した。
水道局は4月の前回会合で、施設の老朽化などを背景に「今後10年間で959億円、20年間では1676億円の先送りや圧縮の余地がない投資が必要となっている」と説明していた。料金改定は投資計画に基づいて導いたという。
会合では料金改定について2案を提示した。投資額を賄うために企業債(借金)の発行を抑制気味にしながら今の世代に負担が集中する「58%増」案と、企業債を最大活用して将来世代を含めた市民負担を平準化する「28%増」案。水道局は「(施設の)一斉更新時期の到来に対して、今の世代だけで負担せず、将来世代も等しく負担するべき」「資金繰りを可能とする範囲で市民負担の最小化を図ることが妥当」と主張し、検討委は了承した。
水道局は料金改定に際して、来年度から3年間を「見極めの期間」とし、石木ダム建設の動きなどを注視していくという。10年後には現行から2倍近くに値上げする必要があるとのシミュレーション結果も出ており「経営の転換点を見極め、準備や対応策を講じたい」としている。
〈参考〉
◆2025年4月16日 長崎新聞
https://nordot.app/1285064127310217822?c=174761113988793844
ー佐世保市が959億円投資…石木ダムや管路更新など 今後10年間の水道事業計画明らかにー
長崎県佐世保市水道局は15日、今後10年間で水道事業に959億円を充てる投資計画を明らかにした。東彼川棚町に県とともに計画する石木ダム建設の負担金や、古くなった管路の更新、市内水道を一元運用するため市北部の水系に送水管を整備することなどが柱。「先送りや圧縮の余地がない事業に絞り込んだ最小限の投資額」としている。
同日開いた第三者機関の市上下水道事業経営検討委員会で示した。検討委は「投資計画は妥当」とし、今後、投資計画に照らした財政計画について審議する。検討委は2月、石木ダムの利水事業再評価で「事業主体のやる気と覚悟が欠如している」と厳しい表現を使い事業継続を答申している。
水道局は、今後20年間の投資計画について「1676億円の投資が必要」とも報告。経営方針では20年間の投資額を1540億円と見積もっており、136億円上振れることになる。
今後10年間の事業費内訳は▽石木ダム負担金などの水源確保に321億円▽リスクマネジメント費に41億円▽老朽浄水場などの安全確保策に407億円-など。水道局は、石木ダムの2032年度完成を前提に、市北部を中心に点在する小規模浄水場の統廃合も進めていく方針。
水道局によると、市内の水道を取り巻く現状は、他都市よりも導水管などの施設数が多い中で老朽化が進み、一斉更新の時期を迎えている。そうした中で水道供給を持続させるためには「施設更新を進めることが大前提となり、事業規模を増やす必要がある」という。
市内に張り巡らされている管路については、一斉更新を回避するため年間7~10キロ進めてきた更新作業を年15キロに拡大する。今後10年間は基幹管路の整備を優先し、小口径管路は後回しにする。小口径管路は漏水などの老朽化リスクが高まるが、モニタリングを強化することで給水サービスを維持するという。小口径管路はその後の10年間で更新を進める。
◆2025年2月18日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/AST2K55HMT2KTOLB00FM.html
ー人口減でも「新規水源は必要」、石木ダム建設の水需要予測とはー
人口は減っても、1日4万立方メートルの新規水源は必要だ――。水道水源用に石木ダム建設を進める長崎県佐世保市が、2043年度までの水需要予測を公表した。「過大」との批判もある。どんな予測なのか。
石木ダムは、県が治水、市が利水目的で同県川棚町に建設中の多目的ダム。市は今年1月、国庫補助を継続して受けるため、国が定める5年に1度の事業の再評価を、市上下水道事業経営検討委員会(9人、委員長=横山均・長崎県立大教授)に諮問し、水需要予測を説明した。
予測は石木ダムの給水エリアを、佐世保市内の佐世保地区(合併前の旧市)と旧町地区(合併前の小佐々、鹿町、江迎の一部)に設定。43年度に必要な取水量を1日11万7700立方メートル(以下、立方㍍を省略)とした。
人口減少、国推計より2万人程度上ぶれ見込む
(以下略)