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川辺川ダム、強制収用めぐり公聴会、大半が反対意見

 国の川辺川ダム建設事業をめぐる公聴会が昨日、今日と熊本県で開催されました。
 今回の公聴会では、意見陳述を申し込んだ流域住民の多くが拒否されたことが判明しており、大きな波紋を呼んでいます。
 八ッ場ダム事業の公聴会においても、賛成意見はダム事業を推進する自治体の職員や議員ばかりで、大半が反対意見でしたが、事前に公述を拒否されたケースはありませんでした。それだけ清流・川辺川におけるダム建設には反対意見が多いということなのでしょう。
 国交省は新聞記者に対して、「多数の申し込みがあり、同趣旨の意見については選定できなかった」と釈明したということですが、断られたのは川漁師やダム撤去を求めてきた住民など、直接ダム建設が生活にかかわる方たちです。
 ダム事業を進めるのが仕事の国交省には、最初から流域住民の意見を聴く気などないことが、こんなところで露わになりました。

◆2025年8月26日 熊本日日新聞
https://kumanichi.com/articles/1873637
ー川辺川の流水型ダム建設 川漁師「公聴会で発言の機会を」 予定地付近で操業、国交省は「公述不可」ー

 川辺川の流水型ダム建設予定地(相良村)周辺の漁で生計を立てている川漁師の男性が、9月に開催されるダム事業の公聴会で「公述(意見陳述)」の機会を与えられなかった。国土交通省に事前申請したものの「不可」と回答され、「ダムの影響を最も多く受ける立場なのに、意見が言えないのはおかしい」と同省の判断を批判する。

 国交省は、ダム建設に必要な用地や漁業権の収用を可能にする土地収用法の事業認定を国交相に申請中。住民らの意見を聴く公聴会もその手続きの一つで、建設予定地の下流にある人吉市で9月5、6日に開催する。

 川漁師の男性は、川辺川のダム建設予定地一帯でアユやヤマメを捕り、販売して収入を得ている。ダムの完成によって上下流の漁場が消滅することから、規定に沿って公述を申し込んだが、文書で「不可」との回答があった。

 男性は「長年、漁で主たる生計を立ててきた。ダム建設で生活がどうなるのか大きな不安があるのに、当事者の声を聴かないなんて」と、国への憤りが収まらない。建設予定地付近で漁をしていることも申請書に記載しており「考慮してほしかった」と残念がる。

 国交省の不動産・建設経済局総務課土地収用管理室によると、流水型ダムの公聴会には数十人から公述の申し込みがあり、地域や開催時間などを踏まえて29人を認めた。「同じような質問もあり、なるべく重複しないよう公述者を選定した」と担当者は説明する。

 一方、ダム建設に反対する住民団体「清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会」などは26日、独自の調査で39人の申請者のうち18人が公述不可になったとして、公聴会の日程を増やすよう求める国交相宛ての要望書を送った。(東寛明)

◆2025年9月6日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/AST953VH6T95TLVB001M.html
ー大半が反対意見 川辺川ダム建設事業で公聴会ー

 国土交通省は5日、熊本県相良村に計画する川辺川ダムの建設事業をめぐり、住民らの意見を聞く公聴会を人吉市カルチャーパレスで開いた。土地収用法に基づいて未買収地を取得するための手続きの一つ。6日まで開かれる。建設に反対する住民団体は「意見陳述が大幅に制限された」と反発している。

 会場には約150人が傍聴に訪れ、初日は10人余が意見を述べた。大半がダム建設に反対の立場。「上流の雨だけをためるダムでは洪水を防げず、緊急放流の危険もある」「堤防のかさ上げや河床の掘削など、ダムに頼らない流域治水を住民と考えてほしい」などと訴えた。2020年の豪雨で自宅が床上浸水した男性(68)は「流木が橋にたまって川の流れをせきとめ、水があふれた。山林などの環境を守ってほしい」とダムに反対した。松岡隼人・人吉市長がダムに賛同する立場で意見を述べた。

 川辺川ダムは球磨川支流に計画されている国内最大の流水型ダムで、高さ107・5メートル、幅262・5メートル。平常時は水をためずに川へ流し、大雨などによる洪水時だけゲートを閉めて貯水する。総貯水容量は約1億3千万トンで、貯水面積は3・91平方キロ。過去の降水記録からの推計で、洪水調整のため貯水する日数は年平均で約1日という。

 建設に反対する住民団体「清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会」によると、意見陳述を申し込んだ住民のうち20人以上が「意見を述べることはできない」とする通知を受け取ったという。国交省は意見陳述を認めなかった人数を公表していないが、「多数の申し込みがあり、同趣旨の意見については選定できなかった」と説明している。(伊藤隆太郎)

◆2025年9月6日 RKK熊本放送
https://news.yahoo.co.jp/articles/7d95af20f6a42ccdcd2260ef45e4c2d67d752e03
ー川辺川のダム計画 強制収用手続きも視野に国が「公聴会」 熊本・人吉市ー

 熊本県の球磨川の支流、川辺川に国が計画している流水型ダムの建設事業を巡り、人吉市で公聴会が開かれています。

 この公聴会は土地収用法に基づき、国土交通省がダムの事業認定を受けるために必要な手続きの一つです。

 きのう(9月5日)人吉市で始まった公聴会では、国交省が川辺川にダムを建設する目的や事業内容を説明した後、5年前の7月豪雨で被災した人や川漁師たちがダム事業に対する意見を述べています。

 今後、事業が認定されると、土地の所有者や漁業権者との交渉が折り合わない場合、国が強制的に対象の土地や漁業権を取得できるようになります。

 公聴会はきょうまでですが、ダム建設に反対する市民団体は、「意見を述べることが認められなかった人が多くいる」として、公聴会の追加開催を求めています。

◆2025年9月6日 西日本新聞
https://www.nishinippon.co.jp/item/1396387/
ー川辺川ダム建設巡り初の公聴会 地元アユ漁師「清流の水質悪化を招く」ー

 国土交通省は5日、熊本県の球磨川支流・川辺川で計画されるダム建設を巡り、流域住民の意見を聞く初の公聴会を同県人吉市で開いた。地元のアユ漁師が登壇し「清流の水質悪化を招く」と反発。計画はいったん撤回さ…