猛暑の中、首都圏の水がめとされる利根川水系上流の9ダムの貯水率が40%を割ったことが報道されています。中でも貯水率が低いのは最も新しい八ッ場ダム(2020年竣工)で、以下の記事では貯水率が15%となっています。
先週末の台風の影響で、群馬県でもまとまった雨が降り、報道後に状況は改善しています。農業用水が大量に必要な季節が終わったこともあり、水道用水への影響はほとんどないと思われます。
利根川ダム統合管理事務所のホームページによれば、9ダム合計の貯水率は60%(8日0時現在)、
https://www.ktr.mlit.go.jp/tonedamu/teikyo/realtime2/E015010.html
八ッ場ダムの貯水率は26%(8日午前7時)です。
https://www.ktr.mlit.go.jp/tonedamu/teikyo/realtime2/E007020.html#damdate2128927
しかし、記事にもあるように、八ッ場ダムの水陸両用バスの運用は休止されており、ダム湖観光への影響は当分続きそうです。ダム湖観光は本来、満々と水をたたえた湖が観光客をひきつけることを前提としているのですが、夏場のダムは渇水でなくとも洪水に備えて人為的に水位を大幅に下げます。八ッ場ダムの場合は、「洪水調節」として28メートル水位を下げることになっており、夏場の観光にはもともと制約があります。
◆2025年9月6日 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/local/gunma/news/20250905-OYTNT50323/
ー利根川9ダム渇水懸念 貯水率40%ー
今夏の猛暑と少雨の影響で、利根川上流域のダムの貯水率が40%まで減少し、渇水の懸念が高まっている。5日にオンラインで開かれた国や関係都県などによる臨時対策会議では、実施されれば9年ぶりとなる取水制限について早ければ来週にも協議することも確認された。
「連日の猛暑で特異な状況だった。きめ細かい(ダムの)運用を行ってきたが、この状況が続けば9年ぶりの渇水になる」
国土交通省関東地方整備局の斎藤充則・広域水管理官は台風15号の影響による5日の雨にも言及した上で、「(今後は)晴天が戻ってくる。このタイミングでダムに水をため、対策を考えたい」と述べた。
会議には、利根川の水を利用する群馬を含めた6都県など計10機関が参加。今後も貯水量減少が続いた場合は、10%の取水制限について議論する方針だ。
利根川上流域の9ダムの貯水率は、7月1日時点は100%だった。しかし、その後の少雨などで、4日午前0時現在で40%まで減少。猛暑が続き、水の蒸発量が増えたことも一因とみられる。
埼玉県久喜市より上流の利根川流域に設置された国交省の各雨量計によると、5月の降水量は166ミリ・メートルで、1948~2024年の平均値の142%だったが、6月以降は下回り、6月は78%(138ミリ・メートル)、7月は74%(148ミリ・メートル)だったが、8月には47%(98ミリ・メートル)まで減った。
気象庁が4日発表した関東甲信地方の今後1か月の見通しによると、降水量が平年より少ない可能性は50%とされ、気温が高い確率も80%とされた。県も状況を注視しており、山本知事は4日の定例記者会見で「節水の感覚を持っていただき、協力をお願いしたい」と呼びかけた。
「集客できず」困惑水陸両用バス業者
9ダムでは八ッ場ダム(長野原町)の貯水率が15%(4日午前0時現在)と最も低く、ダム湖を活用した観光業にも影響が出ている。
水陸両用バスを運行する「Dts creation」は、ダム湖の水位低下を受けて1日から運行を見合わせ続けている。冨沢裕二CEO(最高経営責任者)は「運行したら船底をこするレベル。ここまで見通しが立たないのは初めてだ」とため息をついた。食堂などがある「八ッ場 湖みず の駅丸岩」の管理も担っており、「集客できず死活問題だ」と困惑していた。