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長崎・佐世保市の水道料金27%超値上げへ、強引な石木ダム推進のツケ

 水没住民の長年のダム反対闘争が全国から注目される長崎県の石木ダム事業。石木ダムの建設目的は、人口が減少し、水需要も減少する佐世保市に水道水を供給することです。利権のためにダム事業費を負担する佐世保市は、水道料金が上昇する一方です。

 おそらく、石木ダムの事業費はさらに膨らみ、佐世保市の水道料金もこれからますます上昇することでしょう。佐世保市当局もこのことについては問題意識を持っているのですが、ダム事業費増大の原因を事業を遅延させている長崎県のせいにしていることが長崎新聞などの報道でわかります。

 市民団体「平和なくらしを考える会」は水道料金に反対する署名2348筆を佐世保市の水道局に提出しました。 報道によれば市民団体は、「値上げ理由に水需要の減少を挙げるが、水需要増加を理由に石木ダムを建設していることと矛盾する」と訴えています。なるほど、確かにその通りです。不要なダム建設を無理やり進めようとしていることこそが、事業費増大、水道料金上昇の原因です。

■2025年9月18日 長崎新聞
https://news.jp/i/1341239276247106410?c=39546741839462401
ー水道事業「長崎県の関与を」 料金値上げを巡り、佐世保市が協議申し入れへー

 長崎県佐世保市が来年度から水道料金を引き上げる条例改正案を定例市議会に提案していることに関連し、中島勝利水道局長は17日、県に対して水道事業の広域化を含めた関与について、協議の場を申し入れる考えを明らかにした。「広域化のみならず、県北の中核都市として将来にわたる地域インフラの安定経営や安定供給ができるよう、まずは課題共有を含めた議論の場をお願いする」と述べた。

 同日の市議会一般質問で、崎山信幸議員(自民党市民会議)が値上げの背景の一つとして「石木ダムの完成が遅れている。県にも大いに責任があるのでは」とただしたのに対し答えた。

 県の関与を巡っては、水道局の第三者委が7月にまとめた答申でも「県が事業主体となっている石木ダム建設の遅れが水道料金の高騰を招いてきた」と指摘。県に対して市の水道政策に当事者意識を持って積極的に関与するよう求めた経緯がある。

 中島局長は「答申内容を真摯(しんし)に受け止めている」とし「石木ダムの完成を前提とした上で、今後の上下水道事業の安定経営を図る観点から、広域化を含めた県の関与の協議を申し入れたい」とした。

 宮島大典市長も「水道事業の枠組みや経営構造を抜本変革する時期と痛感している」と述べた。

 諸國麻椰議員(若者議員を増やす会)は水道料金の引き上げに関連し、市がプレミアム付き商品券の原資として予算案を提案している国の重点支援地方交付金を活用し、住民負担を軽減する策もあると指摘した。
 
 

■2025年9月20日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/AST9M4JCTT9MTOLB001M.html
ー長崎・佐世保市の水道料金27.5%値上げ議案 市民から反対の要望ー

 長崎県佐世保市が9月市議会に提出した来年度から水道料金を27.5%値上げする条例改正案に、市民から反対や負担軽減を求める声が出ている。

 特別養護老人ホームなどを運営する27法人でつくる市老人福祉施設連絡協議会と、グループホームなどを運営する約70事業者でつくる市グループホーム連絡協議会は17日、市役所で宮島大典市長、市議会の久野秀敏議長に、物価高騰が収まるまで、値上げ分の市民の直接負担をなくす対応などを要望した。

 全国的に特別養護老人ホームの約6割、グループホームの約7割が赤字経営で、人件費や物価高騰の中、水道料金を値上げされると経営がさらに難しくなると説明した。

 市民団体「平和なくらしを考える会」は12日、値上げへの反対署名2348筆を市水道局に提出した。

 「市の水道料金は全国的にも高い。値上げは物価高で苦しむ市民にさらなる追い打ちをかける。企業誘致の点でも致命的」「値上げ理由に水需要の減少を挙げるが、水需要増加を理由に石木ダムを建設していることと矛盾する」などと訴えた。

 条例改正案は、来年度から水道料金を27.5%値上げし、市民生活への影響緩和のため、一部を一般会計で補塡(ほてん)して、市民が直接負担する値上げを26年度17.5%、27年度22.5%に抑えるという内容。