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長野原町、職員の公金詐取めぐり、報道に情報非開示

 八ッ場ダムがある長野原町は、職員が出入り業者と共謀した詐取・窃盗事件が注目され、萩原睦男町長は来年4月の町長選に早々と不出願を表明しました。現時点では他の立候補予定者は現れていません。
 今朝の上毛新聞社会面に掲載された以下の記事によれば、事件で有罪判決が言い渡された元職員以外にも、複数の職員が不正を行っていたとの証言が公判であったとのことです。上毛新聞は情報公開請求を行ったものの、長野原町は「非開示」と回答したとのことで、町の姿勢が厳しく問われています。
 当初は一職員の些細な事件とみられましたが、町役場全体の問題に発展する様相です。半世紀以上「ダムの町」として情報が秘匿されてきたことが、今も町の体質に影響しているのでしょうか。

◆2025年11月5日 上毛新聞
ー長野原町、職員の公金詐取巡り 報道に情報開示せず 上毛新聞が請求ー

 長野原町の元職員が出入りする業者と共謀して町の備品やお言う金を流用していた詐取・窃盗事件で、元職員と業者に有罪判決が言い渡された。この公判で業者の経理担当者は「他にも公金で私物を購入した職員が複数いた」と証言した。不正に手を染めた職員が過去にもいた可能性が浮上し、上毛新聞は町に対して検証の有無などについての情報開示請求を行った。ところが、結果は「不開示」だった。

 同町の条例は、開示請求権者を住民や町内の事業所に勤務する人に限定している。「実施機関(町)が行う事務事業に利害関係を有すると認められるもの」も請求できるが、入札に関わる企業などに限定され、報道機関は含まれないという。

 国の情報公開法は「何人も開示を請求することができる」と定めているが、各自治体の規定はさまざまだ。総務省の2017年の調査によると、全国の市町村の5割強が国にならって誰でも請求できると定める一方、上毛新聞の調べでは県内35市町村のうち14市町にとどまっている。

 NPO法人情報公開クリアリングハウス(東京都)の三木由希子理事長によると、小さな自治体では議会の追及などによる「自浄作用」が機能しにくく、議員数の多い都市部よりも、外部からの監視の必要性が高い。「情報開示の請求権者を限定してしまうと、外からの目が届きにくくなる」と指摘する。

 今回の事件で元職員は、公金を高級シャワーヘッドなど交際相手へのプレゼント代に充てていた。また、証人出廷した業者の経理担当者は、過去に別の職員も私物を購入していたと証言した。不正を防ぐための構造的な欠陥があった恐れがある。

 町はその後、備品の納入時に複数の職員で確認するよう対策し、内部通報制度も整えたとする。一方で、公金の不正利用について独自の調査や第三者委員会の立ち上げはしない意向を示している。信頼を取り戻すには、徹底した検証と住民への説明が不可欠だ。