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西日本豪雨に伴うダム放流めぐる裁判結審 判決は来年3月

 2018年の西日本豪雨では、愛媛県を流れる肱川にある国直轄の野村ダムと鹿野川ダムが短時間に満杯となり、豪雨の最中に緊急放流を行う事態となりました。その結果、ダム下流で8人が死亡。遺族が国などの責任を問う裁判闘争を行ってきました。
 裁判ではダムの操作規則の問題がクローズアップされました。肱川上流のダムは、中小規模の洪水に対応することを目的に、1996年に操作規則が変更された経緯があります。2018年の豪雨の際、ダムを管理する国の職員らは中小規模の洪水に対応する規則にのっとってダムを操作したのです。
 この水害は想定内の洪水にしか対応できない、ダムによる治水の限界を示唆するものでした。国は法廷で、操作が正しかったことを主張してきたとのことですが、ダム計画で決められた操作がかえって水害を拡大させ、住民を犠牲にしたのであれば、ダムによる治水は流域住民の命を守ることを目的としているとは言えません。
 

◆2025年12月24日 NHK愛媛放送局
https://news.web.nhk/newsweb/na/nb-8000024080
ー西日本豪雨に伴うダム放流をめぐる裁判が結審 判決は来年3月ー

 7年前の西日本豪雨に伴うダムの放流などを巡る裁判で24日、松山地方裁判所で最終弁論が行われ、結審しました。
判決は来年3月に言い渡される予定です。
 2018年に発生した西日本豪雨では、愛媛県の野村ダムと鹿野川ダムで緊急放流が行われたあと、下流の肱川が氾濫して8人が死亡し、遺族などがダムを管理する国と愛媛県の西予市と大洲市を相手取って松山地方裁判所に集団訴訟を起こしています。
 24日は最終弁論が行われ、原告側は当時のダムの操作規則は大規模な洪水に対応できないもので、安全性に欠けていたなどと改めて述べました。

 一方、国は当時の操作規則は過去の水害の規模を適切に考慮して定めたもので、これまでの大雨でも水害を防ぐ効果を発揮していて安全性に問題があるとはいえないと主張しました。
 また、西予市と大洲市はこれまでの審理で、避難の呼びかけなどの対応に問題はなかったして、訴えを退けるよう求めています。
 裁判は24日結審し、判決は来年3月18日に言い渡される予定です。

 裁判のあと、原告の遺族や被害者、それに代理人を務める弁護士などが松山市で記者会見を開きました。
 原告の1人の椿本紀代さんは、「多くの人の助けがあり、結審まで来ることができました。両親によい報告できる判決を望みます」と話していました。
 また、原告代理人の奥島直道弁護士は「裁判では相手がこちらの問いにはぐらかした回答ばかりで残念だった。裁判所の判断を期待しています」と話していました。

 国や大洲市、それに西予市はNHKの取材に対し、いずれも「コメントは差し控える」としています。

◆2025年12月24日 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20251224/k00/00m/040/351000c
ー西日本豪雨時のダム操作巡る国賠訴訟 判決は2026年3月 愛媛ー

 西日本豪雨(2018年)の際、国の不適切なダム操作が愛媛県大洲、西予両市で肱川(ひじかわ)の浸水被害を拡大させたなどとして、犠牲者の遺族や被災住民ら31人が国家賠償法に基づき国などに損害賠償を求めた訴訟が24日、松山地裁(古市文孝裁判長)で結審した。判決は26年3月18日。

 訴状などによると、住民側は国が大雨による雨水の増加が予想できたのに、野村ダム(西予市)と鹿野川ダム(大洲市)で十分に事前放流しなかったなどと訴えた。国側は放流操作に過失は認められないなどと主張した。原告の一人、入江須美さん(58)は「原因を知るためには裁判しかないと思って頑張ってきた」と語った。【広瀬晃子】

◆2025年12月24日 愛媛朝日テレビ
https://news.yahoo.co.jp/articles/d879475f3bf0a9cd65ae124079b424304321c58a?source=sns&dv=pc&mid=other&date=20251226&ctg=loc&bt=tw_up  
ー西日本豪雨時のダム放流で被害甚大 遺族らによる損害賠償訴訟は結審【愛媛】ー

 2018年に愛媛を襲った西日本豪雨から7年。
 川の氾濫で甚大な被害がでたのはダムの放流や操作規則が適切ではなかったなどとして遺族らが国などに対して損害賠償を求めた裁判が24日、結審しました。
2018年7月の西日本豪雨では肱川が氾濫し8人が亡くなりました。
 その遺族や被害者31人は肱川流域の野村ダムや鹿野川ダムの緊急放流や新しくなった操作規則に不備があったなどとして、国と西予市・大洲市を相手取り2020年、松山地裁に提訴しました。

 裁判は24日、最終の口頭弁論が松山地裁で行われ、原告側は、国は異常な洪水が起きた時ダムの放流操作の1時間前に西予市に通知を行う必要があったが適切にしていなかったなどと主張。
 そのうえで1996年に変更された新しい操作規則は「大規模な洪水に対応できないもの」とし、ダムの操作に「過失があった」などとしました。

 一方、被告の国などは1時間半以上前にホットラインで西予市に通知をしていて、新しい操作規則も当時、中小規模の洪水被害を減らすことが課題とされていた中で変更されたもので「操作規則に不備があるとはいえない」と主張。
 そのうえで当時の「放流操作に過失はなかった」としました。

【原告代理人・奥島直道弁護士】
「こちらの問いにきちんと答えないではぐらかして正しいんだといわんばかりの国のプレゼンには腹が立ったなと」「原告みんなが信頼してよかった、裁判所を信じてよかったという判決を裁判所には賜りたい」

 判決は来年3月18日に言い渡される予定です。

◆2025年12月25日 南海放送
https://news.yahoo.co.jp/articles/6006360bfb464c7b917e991702a3e39ec4ba38bb
ー西日本豪雨 ダム緊急放流めぐり遺族ら損害賠償求める 裁判は結審3月18日判決言い渡しへー

 西日本豪雨で浸水被害が発生したのは緊急放流を行ったダムの操作に問題があったからなどとして遺族らが国などに損害賠償を求めている裁判が結審しました。来年3月、判決が言い渡されます。
 訴えを起こしているのは西日本豪雨の浸水被害による遺族ら、あわせて31人です。

 2018年7月の西日本豪雨では野村ダムと鹿野川ダムが緊急放流を行った後、ダムの下流にある肱川が氾濫して西予市と大洲市であわせて8人が亡くなりました。
 原告団は、2つのダムが事前の放流を十分に行わず、大量で急激な放流をした操作には重大な過失があるなどとして国と西予市と大洲市に対し損害賠償を求めています。
 松山地裁で、きのう開かれた口頭弁論で、原告側は緊急放流の1時間前の通知が行われていなかったなどとして、ダムの操作規則や放流に「瑕疵があった」と改めて主張しました。

 一方、被告側は1996年に定められたダム操作の新規則は中小規模の洪水に対して優れた効果を発揮してきた他西日本豪雨の際はこの規則に従ってダムの操作を適切に行っており「瑕疵は認められないとして請求棄却を求めました。
 裁判は結審し、来年3月18日に判決が言い渡されます。

◆2025年12月24日 TBS
ー「操作は誤っていた」「過失はなかった」 西日本豪雨でダム緊急放流めぐり遺族らが国などを訴えた裁判 判決は来年3月言い渡しへ 愛媛ー

 西日本豪雨で、愛媛県の肱川流域にあるダムの操作などを誤ったとして、遺族らが国などを訴えている裁判は、24日、松山地裁で審理が終わりました。判決は来年3月に言い渡されます。

 裁判は、2018年7月に発生した西日本豪雨で、肱川流域にある野村・鹿野川両ダムで緊急放流を行った際、下流の地域で川が氾濫。

 遺族らがダムの放流操作が不適切だったうえ、避難指示も遅れたため被害が拡大した、などとして、国などに損害賠償を求めているものです。

 松山地裁で開かれた24日の口頭弁論で原告側の遺族らは改めて「操作は誤っていた」として、全ての損害を賠償するよう求めました。

 これに対し被告側の国などは「1996年に新しい操作規則になってから、変更すべき事案が発生しなかった」としたうえで、「規則にのっとっていて操作に過失はなかった」などと反論しました。