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長崎県の平田知事、石木ダムめぐる「流域委員会」設置の公約はどうなる?

 さる3月2日に長崎県知事に就任した平田研知事の石木ダムへの対応が注目を集めています。
 長崎県が半世紀以上をかけて推進してきた石木ダム事業は、13世帯の現地住民の反対によって本体工事が本格的に始められない状況が続いています。ダムを造るためには、長崎県が行政代執行を実行して住民を事業用地から強制的に立ち退かせるほかないのですが、13世帯もの住民を立ち退かせることには世論の反発もあります。長崎県はこれまで反対住民の翻意を促すために住民への嫌がらせともとれる働きかけを行ってきましたが効果はなく、石木ダムの不要性が年を追うごとに明らかになりつつあるのが実状です。
 2月の知事選では、前知事が石木ダム推進を打ち出したのに対して、平田知事は新たに流域委員会を設置して、石木ダムの治水計画について有識者から意見聴取を行うと約束しました。このことがダムに反対する県民に評価され、当選の一つの原因になったともいわれます。石木ダムは科学的に検証すれば、治水効果がきわめて乏しいダムだからです。
 しかし、平田知事も基本的にダム推進の姿勢には変わりないと言われます。今後、流域委員会設置という公約をどのような形で実現するのかが注目されます。今月5日には、石木ダム事業に協力してすでに立ち退いた住民らと面談したと報道されています。事業に協力した住民は、当然のことながら早期のダム完成を望みます。こうした場面でも、住民同士の分断が進むのがダム事業です。

◆2026年3月6日 長崎新聞
ー長崎の石木ダム建設事業…平田知事が移転応じた元住民と面会 設置方針の「流域委」に質問相次ぐー

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町で進める石木ダム建設事業を巡り、平田研知事は5日、事業に協力し、移転に応じた元住民と同町で初めて面会した。元住民からは、ダムの治水計画で有識者の意見を聞くために平田知事が設置する方針の「流域委員会」についての質問が相次ぎ、「計画通りの完成を」と求める声が上がった。

 建設予定地の地権者で家屋の移転を伴うのは計67世帯。このうち約8割の54世帯が用地買収に応じ、移転した。残る13世帯は事業に反対し、県が土地収用法に基づき、用地を取得した現在も住み続けている。平田知事は就任後、双方の住民と面会する意向を示していた。

 この日は元住民10人が参加。流域委員会について「事業の継続・中止にまで踏み込むのか」「計画に大きな変更はないのか」などと質問した。平田知事は、事業推進の立場を強調し「丁寧に事業を進める一環。まずは予断を持たず話を聞きたい」と応じた。2032年度の完成目標は「念頭に置いている」とした。

 面会後の取材に平田知事は「(元住民が)流域委員会の事業への影響を心配していることは分かった。委員会の意見を踏まえて知事として判断する」と述べた。13世帯との面会も調整している。

◆2026年3月6日 西日本新聞
ー石木ダム巡り流域委の政策協定が波紋 長崎県の平田知事「任意の委員会」 県議反発「約束ほごにするのか」ー

 長崎県知事選で平田研知事が県議2人と結んだ、石木ダム(川棚町)建設事業に関する政策協定が波紋を広げている。県議側は、ダム計画の根幹となる河川整備計画の策定や見直しで有識者の意見を聞く河川法上の「流域委員会」を設置することで一致していたと説明するが、平田知事は法に基づかない「任意の委員会」との認識を示している。

 県議は大倉聡氏と牧山大和氏。大倉県議によると、政策協定の中身を議論する際、知事は河川法に基づく委員会の設置に納得した上で締結に至ったという。同法に「流域委員会」との文言はないものの、全国的には意見を聞く場の名称を「流域委員会」としているケースは少なくない。

 協定は知事選告示の直前に結ばれ、石木ダム事業の見直しを掲げる候補者1人が出馬を辞退した。知事選で平田氏が大石賢吾前知事を破る「勝因の一つ」(重鎮県議)となった。

 これに対し、平田知事は5日、水没予定地から移転した住民との面会後に報道陣の取材に応じ、流域委員会について「私は河川法上で位置付けた委員会とは理解していない」と県議側との認識の違いを示した。「どのようなやり方で意見を聞くのが流域のためになるのかで考えていく」と述べた。

 大倉県議は取材に「任意の委員会なら、ただ意見を聞くだけになる。計画見直しの余地はなく、意味合いが全く異なる。約束をほごにするのか」と言い、近く知事と直接面会して真意をただすという。

 建設に反対して水没予定地に住み続けながらも、平田氏に1票を投じたという石丸穂澄さん(43)は「約束の通り、法に基づく委員会を設置してほしい」と話した。(一ノ宮史成)

◆2026年3月5日 長崎文化放送
ー平田知事  石木ダム事業に協力・移転の元住民と会う「思いを受け止め、事業の推進に当たりたい」ー

 2日に就任した平田研知事は、県と佐世保市が建設を進める石木ダム事業に協力し移転した、10世帯10人の元住民と面会しました。

【写真】平田知事  石木ダム事業に協力・移転の元住民と会う「思いを受け止め、事業の推進に当たりたい」

知事は冒頭、「重い決断をして、事業に協力していただいた方々の思いをしっかり受け止め、今後の事業の推進に当たりたい」と述べました。

石木ダム事業を巡っては、予定地に暮らしていた67世帯のうち54世帯が事業に協力し移転しましたが、2019年9月の強制収用で、全ての土地の権利が県に移った後も、反対する13世帯が暮らし続けています。

事業に協力した元住民:
「移転した者の気持ちとしては、早くダムが完成したらいいなと思う気持ちでいます」

平田知事は今後、石木ダム事業の反対住民とも意見交換したいとしています。

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