国土交通省は2010年に中止が決定した倉渕ダム計画を復活させようとしています。今月2日、群馬県高崎市が国土交通省を訪れ、この動きを後押しする働きかけを行ったことを地元紙が報じています。
◆2026年4月3日 上毛新聞
ー倉渕ダム事業再開要望 高崎市議長ら、国交相に意見書ー
建設が中止された倉渕ダム(高崎市倉渕町)の事業再開に向け、同市の根岸赴夫市議会議長と兵藤公保副市長らが2日、国土交通省を訪れ、、金子恭之国交相に迅速な現地調査などを求める意見書を手渡した。
要望後、根岸議長は用地買収と付け替え道路工事が完了していることを挙げ「(他の中止ダムより)早期に安価で整備が可能。治水と利水の両面で関東の住民に欠かせないダムだ」と述べた。金子国交相は前向きに応じたという。
同ダムは烏川の洪水調節と市の水道水確保などを目的に県が計画し、1990年に建設開始。財政状況や水需要の伸び悩みから2003年に事業を凍結し、10年に中止が決まった。
治水機能の強化に向けた中止ダムの活用を巡っては、同省関東地方整備局が3月に開いた「利根川水系における治水計画検討委員会」で、倉渕ダムと戸倉ダム(片品村戸倉)の現地調査を優先的に進める意向を示している。
他に要望に訪れたのは柄沢高男市議、松本賢一市議、樋口哲郎市議。小渕優子衆院議員(群馬5区)も同席した。
—転載終わり—
2000年代に倉渕ダムが中止する方向に向かったのは、倉渕ダムの主目的であった「都市用水の供給」の受益者であった高崎市で水需要が頭打ちとなる中、不要なダム建設による財政負担を嫌うダム反対世論が高まったためでした。けれども今回、高崎市議会では復活する新たな倉渕ダム計画では、高崎市の財政負担はないとの説明があったとのことです。市議会では自民党と公明党の賛成多数により、倉渕ダム計画同意が決まりました。
上記の記事では1990年に建設開始とありますが、これはダム本体工事の建設のことではなく、本体工事を始める下準備である道路の付け替えなどの建設工事のことです。旧倉渕ダム事業では、すでに水没予定の県道の付け替えなどが完了しており、水没住民もいないことから、ダム事業が再開されればすぐにダム本体工事に着工できる状態です。
国交省は新たなダム計画の目的を利根川の洪水調節(治水)とみなしているとのことですが、旧計画で「治水」とともに主目的であった高崎市への水道用水の供給はどうなるのでしょうか? 2010年に群馬県が倉渕ダムの中止を決定した際の検証報告では、旧倉渕ダム計画は費用対効果の面で治水効果が乏しいとの結論に達していました。
そもそも倉渕ダム計画は群馬県の事業でしたが、新たなダム計画の事業主体はどうなるのでしょうか? 県の事業と言っても、都道府県ダムは国の補助金で建設される、いわゆる補助ダムではありますが、それにしても今回の倉渕ダム復活の動きでは群馬県の姿勢が不明です。
【参考資料】倉渕ダム検証報告書(2015年3月、群馬県)
国土交通省資料 再評価3~4ページ
【参考記事】20年以上前に中止された戸倉ダムと倉渕ダム