八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

群馬県内の上水道事業 11市で収益悪化

 今朝の上毛新聞の一面トップは、群馬県内の水道の料金収入が年々減少しているため、上水道事業の収益が悪化していることを伝える記事でした。この記事には八ッ場ダムという言葉はありませんが、記事の内容は八ッ場ダム事業と深い関係にあります。
 八ッ場ダム事業の主目的である利水(都市用水の供給)は、水需要の増大を見込んでいます。ダム予定地を抱える群馬県も、東京都、埼玉県、千葉県、茨城県と共に八ッ場ダム事業の利水負担金を支払っているのですが、他都県同様、水需要は減少の一途を辿っています。群馬県は千葉県、茨城県と共に人口減少時代に入っており、今後、水余りはさらに加速すると予想されています。
 記事中にある「2012年度上水道事業の給水収益」表にある県内12市のうち、八ッ場ダム事業に参画しているのは、前橋市、桐生市、伊勢崎市、太田市、館林市、渋川市、藤岡市、みどり市の8市です。
 
◆2013年11月12日 上毛新聞一面トップ記事(ネット記事は紙面記事の一部です。)
 http://www.jomo-news.co.jp/ns/6813842174847726/news.html

 -上水道事業 11市で収益悪化  厳しさ続く上水道事業 人口減、節水浸透 迫る設備更新ー

 県内12市の給水収益が水道料金を引き上げた渋川市を除く11市で、市町村合併時(館林市は10年前)と比較して3~12%減少していることが11日、上毛新聞社の取材で分かった。人口減少や節水意識の浸透が要因とみられる。老朽した水道管や浄水施設の更新時期を迎えている自治体が多いが、料金引き上げには慎重意見も多く、水道事業の広域化、民間委託や事務効率化による経費削減を進めている。

 渋川 値上げで黒字化

 前橋市は給水域や減価償却費の増加が響き、経済損失が11年度5800万円。12年度8千万円と2年連続の赤字を計上した。14~16年度の水道料金を諮問された市の審議会は「現行据え置きが妥当」と答申したが、審議会長の尾崎益雄前橋工科大教授は「(経営は)万全とは言えず、破綻しないようやってほしい」と注文を付けた。
 同市は段階的に料金収納や検針、浄水場の運転監視業務を民間委託し、人件費を10年間で約7千万円削減した。しかし、水道管(12.6㌔分)敷設替えの工事費は13~18年度で30億円が見込まれる上、1929年に建設された敷島浄水場をはじめ老朽化した施設が多い。
 太田市も民間委託を進め、09年度に1億円を割り込んだ経常利益を12年度に2億4800万円まで改善させた。経営基盤を強化するため、桐生、みどりなど東毛8市町による上水道の事業統合を進めている。
 渋川市は合併後の07年度から3年連続で経常赤字を計上したが、09年度に料金を平均約20%値上げして黒字に転換した。1955年前後に整備された施設が多いため、来年度から改修や更新に乗り出す。藤岡市は21年にわたり料金を据え置いているが、15年度に稼働する浄水場(事業費15億円程度)を建設しており、現行の2浄水場を1カ所に統合することで建設費と維持費の縮減を図る。
 桐生市も浄水場建設を計画し、8年後の稼働に向けて詳細設計に入った。概算事業費は本体と配管工事を含めて91億円。市水道局は「メーンで稼働している元宿浄水場(1932年建設)の経年劣化を考え、新浄水場の割合を徐々に増やしていく」としている。
 水道の利用量が年々減少する中で、段階的に料金を改定中の渋川市を除いて、来年度以降の値上げを決めている市はない。富岡市は「老朽施設の更新には積立金や企業債を活用していく」としており、市民負担を最小限に抑えながら対応していく方針。
 
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