八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

群馬県の2014年度予算と八ッ場ダム事業

 群馬県の2014年度予算案が2月4日に発表されました。これに関連して、八ッ場ダム関係の予算(75億3775万6000円)についても報じられています。八ッ場ダム関係の予算には、群馬県施行の八ッ場ダム関係事業の予算(国と他都県も負担)と、群馬県独自の八ッ場ダム事業の負担額の予算の両方が含まれています。
 群馬県は国と関係都県と共に八ッ場ダム事業に莫大な税金を投じてきましたが、八ッ場ダム事業の先行きは依然として不透明です。群馬県にとって特に重視されるのは地元の「生活再建」ですが、群馬建設新聞によれば大澤知事も「生活再建ができる環境にはまだない」と認めています。
 国と群馬県は、八ッ場ダム事業を進めることで「生活再建」が実現すると地元に説明し続けてきました。予算を投じれば投じるほど生活破壊が進む八ッ場ダム事業。真の生活再建はいつになったら実現するのでしょうか。

◆2014年2月5日 上毛新聞
 http://www.jomo-news.co.jp/ns/8913915252826947/news.html

 -景気回復6815億 2年連続増の積極型  県予算案内示ー

 群馬県の大沢正明知事は4日、総額6815億8700万円となる2014年度一般会計当初予算案を内示した。前年度比2.3%増の積極型で、2年連続のプラス。大沢知事は「景気回復の動きを県内隅々まで行き渡らせ、持続的に発展していけるようにする景気回復、成長予算」と説明した。同日内示した13年度2月補正予算案と合わせ、明るさが見え始めた県内経済を強く下支えする姿勢を明確に打ち出した。

 経済対策のほか、「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界文化遺産登録推進、文化・スポーツの振興、八ツ場ダム関連事業を重点施策に掲げ、予算配分した。

 「七つの交通軸」を柱とした道路整備などの公共事業費は3.7%増の837億円、八ツ場ダム関連の生活再建事業などに62億6500万円を計上。「群馬がん治療技術総合特区」を生かした新たな産業振興も進める。高崎競馬場跡地のコンベンション施設整備関連に9億3300万円を盛り込んだ。

 歳入のうち、県税収入は自動車関連を中心とした好調な企業業績を受け、8.2%増の2126億円。09年度当初以来、5年ぶりに2000億円台を回復した。税収増に伴い、地方交付税は3.7%減の1284億円を見込んだ。

◆2014年2月5日 東京新聞群馬版
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20140205/CK2014020502000149.html

 -県債残高 過去最高の1兆1800億円 新年度予算案 社会保障、公共事業費が押し上げー
 
県は四日、二〇一四年度の一般会計当初予算案を発表し、年度末の県債残高が過去最高の一兆一千八百億円に達する見通しとなった。県民一人当たりの借金は約六十万円。県債残高は八年連続で膨らみ続ける見込みで、財政健全化への取り組みが急務だ。 (菅原洋)

 県債残高の内訳は、後に地方交付税として充当される「臨時財政対策債」が四千八百億円で、他の通常債は六千九百億円。一般会計の総額は六千八百十五億円(前年度当初比2・3%増)と二年連続で増加した。

 歳入のうち、県債は単年度発行額が九百九十八億円(同5・8%減)。このうち通常債は三百九十九億円(同7・8%増)と、過去五年間で最高となる。高速道路につながる国道など道路網の整備費二百七十七億円など公共事業が発行額を押し上げる。

 他の歳入では、県税収入が二千百二十六億円(同8・2%増)。好調な自動車産業など法人の事業税・県民税が前年度当初比三割以上増えた。

 一方、歳出では、人件費が二千二百六十三億円(同1・1%減)。公債費は県債の増加に伴い、千三十七億円(同3・5%増)となる。高齢化の進展により、社会保障関係費は過去最高の八百五十五億円(同2・3%増)。公共事業費は八百三十七億円(同3・7%増)となる。

◆縮減へ具体的な道筋を
 二〇一四年度末に過去最高となる見通しの県債残高について、県と人口規模が同じ栃木県と比較してみたい。

 栃木県の一三年度一般会計当初予算案の総額は約七千六百億円。同年度の本県を一千億円上回った。しかし、栃木県の一二年度県債残高は約一兆八百億円にとどまる。同年度の本県は約一兆一千四百億円で、財政規模が栃木県より小さいのに借金は五百五十億円以上も上回った。

 しかも、栃木県は五年ごとに見直す行政プランで、県債残高の推計値を一六年度まで提示。一五年度末の県債残高を七千六百億円以下に縮減する数値目標を掲げている。本県は県債残高の縮減に向けた数値目標はない。

 本県を含む各地の地方債では、「臨時財政対策債(臨財債)」が増加。臨財債は国が財源不足のために地方交付税を支給できず、後年に充当する。

 大沢正明知事は臨財債について「使えるものは使いたい。通常債は減らしている」と説明。しかし、臨財債の増加は国の深刻な財政難を一層悪化させ、国民の膨大な借金につながる恐れが強い。臨財債の借金は県でも、国でも、結局は国民負担になる点では同じだ。

 県政は今後、高崎市の高崎競馬場跡地で概算事業費が二百八十億円の集客施設を計画するなど、財政の悪化要因が控えている。県は早急に、県債残高の縮減に向けて具体的な道筋を提示するべきだ。 (菅原洋)

◆2014年2月5日 群馬建設新聞
 http://www.nikoukei.co.jp/gunma/201402/20140205/kj140205_01.htm
 
 ー群馬県の新年度予算案公共事業費は837億円ー

 大澤正明知事は4日、新年度当初予算案を発表した。一般会計の公共事業費には837億円(補助247億円、単独590億円)を計上、当初予算ベースでは前年度の807億円から3・7%増加した。大澤知事は公共事業費について「7つの交通軸を中心とする道路網など社会基盤整備を引き続き計画的に進める必要がある。地方財政計画(+3・1%)を上回る3・7%増、837億円とした」と説明。引き続き7軸整備を強力に推し進めていく方針。

 一般会計総額は6815億8700万円で、大澤県政では最大規模。前年度比では2・3%増となり、これも大澤県政最大の伸びを示す積極型予算編成となり、『景気回復・成長予算』と位置付けた。大澤知事は「速いテンポでの円安が影響し、自動車関連産業を中心にいい傾向が見られた。ただ、円安により厳しい業界もある。県内すみずみまで元気になってくれるように思っている。群馬が元気にはばたけるようしっかりと取り組んでいく」と新年度予算についての思いを述べた。
注目のコンベンション施設整備には9億3340万円を計上。PPPによる施設整備を推進していく方向で調整しており、民間コンサルタントへのアドバイザリー業務委託費などを盛り込んだ。専門家から助言を受けて施設整備推進を図る。用地整備推進費には8億9900万円を盛り込み、民有地の買収を進めるほか、埋蔵文化財調査も実施する。コンベンション施設整備について大澤知事は、コンベンション施設整備室を課に昇格させることを踏まえ「北陸新幹線が金沢まで延伸することで、群馬は新幹線の結節点となるなど交通ポテンシャルは非常に高まっている。少子高齢化が避けられない中、交流人口を増やしていかなければならない。今までの発想を思い切って転換することが、群馬の飛躍につながる」と意気込んだ。

 本体工事が公告されている八ッ場ダム関連事業費には、関連負担金や生活再建に向けた取り組み、付け替え道路などの社会基盤整備など、75億3775万6000円を盛り込んだ。

 地元住民の現地生活再建に向け、基幹施設や産業基盤などの整備を進めるとともに、生活の安定と福祉向上のため、水源地域対策の促進を図っていく。大澤知事は「生活再建ができる環境にはまだない。

 一応前を向ける状況だが、県としてもしっかりと応援するというメッセージを込めて重点施策に位置付けた」と述べるとともに「(太田昭宏国土交通相には)もしまだ見ておられないようなら今の状態をぜひ見ていただき、実感してほしい」と現地視察を要望した。

 新年度から導入される『ぐんま緑の県民税』の基金を活用する『ぐんま緑の県民基金事業』には6億2244万6000円を盛り込んだ。条件不利地などの森林整備や森林環境保全のため、市町村が提案実施する里山・平地林の整備などの事業に対して補助をしていく。森林整備には3億8609万2000円、市町村提案実施事業には1億9000万円を見込んだ。大澤知事は「(建設業の技術者だけでなく)森林も従事者がいない。山の荒廃を回復させ、水源県群馬の体制整備を図ることが目的」と話した。
大澤知事の最重点施策のひとつである『7つの交通軸を強化する道路整備の推進』には277億6874万5000円を計上。高速道路へのアクセス道となる上信自動車道や東毛広域幹線道路、西毛広域幹線道路などの整備を推進する。「就任以来、7軸整備に取り組んでいるが、北関東自動車道の開通が大きい。企業誘致がいい形で全国トップクラスの水準で推移している。これをもっとしっかりするためにも7軸整備が大事だ」と大澤知事は示した。
このほか、新規事業には医療施設耐震化促進や旅館ホテル耐震診断補助などを盛り込んだ。医療施設耐震化促進は医療施設の安全性の向上と災害時における医療提供体制の確保を図るため、耐震診断未実施の施設に対して、耐震診断にかかる経費を1施設あたり200万円補助する。医務課が要望を確認したところ、3施設から要望があったため、この3施設に対して計600万円を補助する。施設名は現段階では非公表としている。
旅館ホテル耐震診断補助には4120万6000円を措置した。耐震改修促進法の改正により、15年末までの耐震診断実施が義務付けられた3階以上かつ面積5000㎡以上の旅館ホテルに対して、市町村を通じて耐震診断費(国庫補助対象限度額の6分の1)を補助する。衛生食品課によると、県内の対象施設は18施設あり「対象事業者に早期の診断を促していく」としている。

◆2014年2月5日 産経新聞群馬版
 http://sankei.jp.msn.com/region/news/140205/gnm14020502090002-n1.htm

 -26年度県当初予算案 大沢県政で最大規模 税収大幅増後押し 群馬ー

 ■「積極型」6815億8700万円
 県は4日、一般会計6815億8700万円となる平成26年度当初予算案を発表した。前年度当初比2・3%増の「積極型」で、大沢正明知事が予算編成した20年度以降で最大規模となった。自動車関連産業を中心とした大企業の好況を背景に、県税収入が大きく増加したことが要因。大沢知事は今回の予算を「景気回復・成長予算」と名付け、「景気回復の動きを県内すみずみまで行き渡らせる」と強調した。予算案は17日開会予定の県議会2月定例会に提出される。

 ◆歳入
 県税収入は8・2%増の2126億円を見込んだ。2千億円を超えるのは、21年度以来5年ぶり。特に、企業が収める法人事業税と法人住民税の「法人2税」が31・7%増の575億円と大きく伸びた。
 借金にあたる県債は5・8%減の998億円。これは、後年度に国から地方交付税として“支給”される臨時財政対策債(臨財債)の減少幅が大きいためで、通常債に限っては7・8%増加した。県財政課は通常債の伸びについて「引き続き公共事業を安定的に行うため」としている。

 ◆歳出
 人件費は退職手当の減額などで1・1%減の2263億円。一方、社会保障関係費は少子高齢化の影響を受け、2・3%増の855億円と過去最高額を更新した。
 公共事業費は3・7%増の837億円。県内の交通網を発展させる「7つの交通軸」の整備に277億円をつぎ込んだ。過去の借金返済に充てる公債費は、臨財債の償還費が増えているため、3・5%増の1037億円となった。

 ◆県債残高
 県債残高は年々増加しており、26年度末には1兆1800億円(25年度末比133億円増)で過去最大を更新する見通し。ただ県債のうち、国が返済を肩代わりする臨財債を除けば、実質的な県債残高は26年度末で6905億円で、5年連続の減少となることが見込まれている。

 ◆組織改正
 スポーツ振興課内に「スポーツプロジェクト推進室」を新設する。東京五輪・パラリンピックのキャンプ地誘致や、27年11月に県内でフルマラソン大会を開催することを目指す。フルマラソン準備費用として615万円を計上した。
 また、建設業の若手技術者の確保を目指し、建設企画課に「建設業対策室」を新設する。

 ◆世界遺産登録
 「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界遺産登録審議を6月に控え、登録推進費を1億3309万円計上。構成4資産の総合管理体制や施設整備計画に2474万円、登録決定時の祝賀行事や記念イベントに780万円を盛り込んだ。全国に構成資産の魅力をPRするための普及広報費には1353万円を計上した。

 ◆ぐんま緑の県民税
 26年度から導入される森林環境税「ぐんま緑の県民税」の基金を活用した事業には6億2244万円。公道や林道から離れた場所にある「条件不利地」の森林整備などを進める。同税の税額は、個人が年間700円、法人が県民税均等割の税額の7%相当額となっている。

 ◆八ツ場ダム
 新年度に本体工事が着工する八ツ場ダム(長野原町)関連事業には75億3775万円を充てた。このうち、地元住民の生活再建に向けた取り組みには52億8585万円を計上。大沢知事は「県としても(地元を)しっかり応援するというメッセージを出すためにも重点事業として取り組んでいかなければならない」と大規模配分の理由を説明した。