マスコミ・行政の問題
関係都県知事の事実認識
(2009年11月6日)
- 利根川の河川改修を長年進めてきたにもかかわらず、カスリーン台風と同規模の洪水の来襲で被害が大きく拡大するという不可解な話。
- 利根川堤防の漏水は堤防の補強で防止すべきことであって、八ッ場ダムにその防止効果を期待するのは非科学的である。
- 暫定水利権は長年取水し続けているもので、実質は安定水利権と変わらないものであるから、国交省の水利権許可制度の改善で解消することができる。
- 首都圏は最近は水余りの状況を反映して渇水の影響を受けにくくなっているし、平成8年の渇水も生活への影響は小さなものであった。
- 夏期の渇水時における八ッ場ダムの役割は小さく、また、平成8年渇水で八ッ場ダムがあれば、取水制限日数を100日短縮できたという話は現実を無視した架空の計算によるものに過ぎない。
「八ッ場ダム建設事業に関する1都5県知事共同声明」の事実認識の誤り
3.暫定水利権は長年取水し続けているもので、実質は安定水利権と変わらないものであるから、国交省の水利権許可制度の改善で解消することができる。
知事共同声明
利水に目を転じてみると、関係都県では、水需要に対し、完成しているダム等のみでは安定的に供給できないため、八ッ場ダムに参画することを条件に、毎秒10.93立方メートルの暫定水利権を既に取得し給水している。
暫定水利権は、河川に水が豊富なときにのみ取水が可能となる不安定な権利である。
共同声明の誤り
八ッ場ダムの暫定水利権といっても、実質は安定水利権と変わることなく、長年取水し続けているものである。例えば、埼玉県水道が持つ八ッ場ダムの暫定水利権は表1のとおり、古いものは37年間も取水し続けている。その間、取水に支障を来たしことがない。
八ッ場ダムの暫定水利権は、八ッ場ダムがなくても取水し続けることが可能なのであるから、安定水利権として認めればよいのだが、利根川の水利権許可権者は国交省で、八ッ場ダム建設の事業者も同じ国交省である。国交省は、水利権許可権をダム事業推進の手段に使っていると言っても過言ではない。暫定水利権の問題は、実態に合わない非合理的な水利権許可行政を改めれば解消されることである。
» 4.首都圏は最近は水余りの状況を反映して渇水の影響を受けにくくなっているし、
平成8年の渇水も生活への影響は小さなものであった。