八ッ場ダムとは

(更新日:2016年12月22日)

八ッ場ダム事業とは

ol_map八ッ場ダムは、吾妻川の中流に位置する名勝・吾妻渓谷に1952年、国によって計画されました。1967年以来、事業費が投じられ、1986年に基本計画が公示されました。1994年から道路等の付帯工事が開始され、2015年にようやく本体工事が始まりました。ダム事業予算の9割以上を費やす関連工事終了の見通しは立っていません。

吾妻渓谷を流れる吾妻川は、群馬県と長野県との県境にある鳥居峠に発し、浅間山、草津白根の山麓の水を集め、関東平野の入り口(群馬県渋川市)で利根川に流れ込む利根川の支流です。関東地方を貫く利根川の洪水調節と利根川下流域の都市用水の供給を目的として進められてきた八ッ場ダム事業―これはまさに首都圏の水問題なのです。

2004年、八ッ場ダムの基本計画が変更され、事業費は全国一の4600億円に増額されました。
さらに2016年12月の計画変更(第五回)により、八ッ場ダムの事業費は5320億円に増額されました。

また、当初のダムの完成予定は2000年度でしたが、三度(2001年、2008年、2013年)の計画変更により、八ッ場ダムの完成は2010年度→2015年度→2019年度と延長されてきました。今後もさらなる事業費増額と工期延長の可能性が高いとされます。社会状況の変化により、ダムの必要性がますます希薄になる中、八ッ場ダム事業は迷走状態にあると言っても過言ではありません。

八ッ場ダムの事業費については、次のページで解説しています。

過大な財政負担  八ッ場ダムの事業費の増額

八ッ場ダムの計画図

八ッ場ダムの計画図

出典:国土交通省資料より作成

付替え国道(国道145号、赤色で図示)は四車線の計画として用地買収が行われたが、ほとんどの区間が二車線のみの建設で、2010年12月より暫定供用開始。残る二車線建設の予定はない。

八ッ場ダム予定地周辺地図

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ダムを造るためには、最初に水没予定地域にある家屋や交通網を移転させなければなりません。これを付帯事業といい、ダム予算の多くがこのために費やされます。付帯事業が終わってから、川の流れをコンクリートの壁で遮る本体工事が開始されます。

八ッ場ダム事業の場合は、特に付帯事業が多く、ダム事業の予算の9割を付帯事業が占めています。
2015年1月にダム本体工事が始まりましたが、付帯事業は今も続いています。

これまで建設されてきたダムの多くは、山奥の水源地にありますが、八ッ場ダムの予定地は人口の多い吾妻川中流部に位置し、水没予定地には国の名勝・吾妻渓谷、川原湯温泉などの観光地があり、さらに全国有数の観光地である草津・万座方面と首都圏とをつなぐ国道、JRなどが走っています。
長い歳月と事業費をかけて国道、JRの付替えなどの付帯事業が延々と続いてきたのはそのためです。

水没予定地の住民の大半は1960~70年代、川原湯温泉街を中心にダム反対闘争に加わりましたが、群馬県が住民の移転代替地としてダム湖予定地周辺に人工造成地をつくり、温泉を引湯し、地域振興を図る「生活再建案」を1980年に提示したことから、1985年に実質的にダム計画を受け入れることになりました。
現在、集落ごとに移転代替地が造成され、住民の移転が進みつつありますが、全水没予定地の川原湯、川原畑両地区では、四分の三の世帯が代替地での生活再建をあきらめ、地区外に転出しています。

ダム予定地の地質は脆く、ダム湖に貯水することによりダム湖周辺の住民の居住地で地すべりの誘発が懸念されており、今後の事業費増額の大きな要因とされます。

建設予定地 群馬県吾妻郡長野原町
“関東の耶馬溪”と称される国の名勝・吾妻渓谷の上流部
目的 1. 治水(利根川の洪水調節)
2. 利水(首都圏の水道用水・工業用水の水源開発)
付随目的として、3.吾妻川の流量維持(2004年~) 4.群馬県営発電(2008年~)
規模 総貯水量1億750万m3
高さ(堤高)116メートル、幅(堤頂長)291メートルの重力式コンクリートダム
水没予定地域 世帯数340戸 面積316ha(1979年群馬県調べ)
ダムサイト予定地に最も近い川原湯地区(川原湯温泉のある集落)、川原畑地区はほぼ全て水没予定
横壁、林、長野原の三地区も一部水没予定
国の名勝・吾妻渓谷の上流部分(滝見橋、八ッ場大橋含む)、川原湯温泉街、国指定天然記念物・川原湯岩脈、JR吾妻線、国道145号、縄文時代から江戸・天明期にかけての遺跡多数、カザグルマの自生地など貴重な山野草の宝庫
関係都県 東京都、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県
利根川流域の一都五県が治水負担金を支払い、栃木県を除く1都4県が利水負担金を支払っている。

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  図の出典は、「国交省八ッ場ダム工事事務所ホームページ」です。
  http://www.ktr.mlit.go.jp/yanba/yanba_index013.html