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城原川ダムに関する佐賀新聞の解説記事とパブリックコメントの意見

 国交省九州地方整備局は国直轄の城原川ダム事業の検証について流域自治体と協議する「検討の場」を5月11日に開催し、「事業継続が妥当」という結論を出しました。
 しかし、城原川ダムについては今も反対意見が強く、地元紙も次のような記事を掲載しています。

 ◆2016年5月12日 佐賀新聞
 http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/310690
 ー城原川ダム建設 解説 住民へ丁寧な説明をー

キャプチャ 予備調査着手から45年もの間、紆余曲折を経た城原川ダム問題は、県を含む地元自治体が「ダム案」を了承したことで建設に大きく動いた。ただ、知事らが同意したとはいえ、事業を進める側の国交省が運営した検証作業の客観性を疑問視する声も漏れる。代替案のコスト計算の基準などが明確に示されず、説得力ある説明があったとは言い難い。

 2005年に流水型ダムという自然放流する新たな工法を佐賀県が提案し、前進したかに見えたが、09年に「コンクリートより人へ」を掲げた民主党政権が誕生すると事業が見直し対象になった。改めて安全性やコスト、環境など多角的な視点から他の治水対策と比較、検証されたが、結局は流水型に落ち着いた。

 環境を重視した流水型は、今回の議論では「150年に1度の洪水」でも唯一効果を発揮するとされた。しかし、益田川ダム(島根県)や西之谷ダム(鹿児島県)など全国でも数える程しか前例がなく、すべて2000年代以降の建設。大規模洪水時の機能も十分に実証されていない。

 ダムによらない他の治水対策を主張する市民の理解を得るためにも、今後も安全を最優先に計画の具体化を図り、丁寧に説明する姿勢が肝要だ。

—転載終わり—

 以下のページで国交省九州地方整備局が城原ダム事業についての関係住民の意見聴取(議事録)とパブリックコメントの結果が公表されています。
 http://www.qsr.mlit.go.jp/n-kawa/kensyo/05-jyoubarugawa/160511-genan_an/houkokusyo_siryo/03_kankeijyuumin.pdf
 「城原川ダム事業の検証に係る検討報告書(素案)」に対する関係住民の意見聴取結果【議事録】、【電子メール等で頂いたご意見】
 平成 28年 5月  国土交通省 九州地方整備局

 上記の3-19ページまでに関係住民の意見聴取の議事録、3-20ページ以降にパブリックコメントで寄せられた意見が載っています。
 関係住民の意見聴取は一人5分という制限があったということですが、それぞれの方のダムについてのおおよその考えがわかります。城原川ダムに賛成する意見は、ダムが減災に役立つことを疑っていないようです。治水(生命・財産を守る)と環境という二つの価値を対立するものとして捉え、土砂災害すらダムで防げるかのような意見も見られます。

 城原川ダムは現在、流水型(穴あき)ダムとして計画されています。ダムによる河川環境の破壊を緩和する切り札として登場した流水型(穴あき)ダムですが、大規模洪水時の機能は実証されておらず、大規模洪水時には目詰まりで治水機能を失うとの指摘もあります。
 上記の3-27~3-39に水問題研究家の嶋津暉之さんの意見が掲載されています。

 嶋津さんがパブリックコメントに寄せた意見は、水源開発問題全国連絡会サイトの以下のページでもご覧いただけます。城原川ダムの抱える問題について、詳細な分析に基づく見解がまとめられています。

 城原川ダムに関する意見(嶋津暉之)
 意見書の別紙1ー城原川ダムの代替案
 意見書の別紙2ー治水対策案⑨「遊水地(地役権方式)+河道の掘削+部分的に低い堤防の存置」
について
 意見書の別紙3ー「基本的な問題がある城原川ダムを建設してはならない」