13世帯の住民が今もダム反対姿勢を貫いている石木ダムですが、地元の町長はダム推進の立場、町議会も推進派が多数です。
さる19日には川棚町議会が日曜日に開かれ、石木ダムの質疑がありました。長崎新聞の報道によれば、1972年に県と町が予定地域の代表と結んだ「地元の了承なしに造らない」との覚書について、川棚町長は「調査するために結んだもので、(調査を終えた)現時点で効力はないと考えている」と答えた、ということです。
この覚書は、水源開発問題全国連絡会の以下のページで公開されています。
http://suigenren.jp/wp-content/uploads/2013/11/685ec70c4f0bcd396c6bad825018033d.pdf
石木川の河川開発調査に関する覚書
日弁連は「石木ダムの中止を求める意見書」で、この覚書を守らないことは契約違反行為であると、厳しく批判しています。
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2013/opinion_131219_4.pdf
1972年当時、八ッ場ダム予定地を抱える長野原町議会は、建設省の「生活再建案」をめぐって、反対派と賛成派の対立が先鋭化していました。
反対運動が長期化する中、八ッ場ダム計画では群馬県が地元住民を安心させる覚書を出す一方で、建設省が粛々と計画を進めるという二人三脚が住民を追い詰めました。群馬県が長野原町と1985年に結んだ覚書は、その後、多くの約束が反故にされましたが、ダム事業を正式に受け入れた1992年以降、疲弊した地元では、約束の反故に抗議する声も小さくなっていきました。
◆2016年6月20日 長崎新聞
http://www.nagasaki-np.co.jp/news/kennaitopix/2016/06/20091610048169.shtml
ー日曜議会 石木ダムで議論ー
定例東彼川棚町議会は19日、日曜議会を開き、議員10人が一般質問した。県と佐世保市が計画する石木ダム建設事業を巡り、県が先月、全ての未買収地について県収用委員会へ裁決を申請、受理されたことに対し、山口文夫町長は「国の事業認定を受けており、事業に違法性はない」と従来の答弁を繰り返した。
事業に反対する久保田和惠議員は「町長は収用委側ではなく住民側に寄り添うべきだ」と主張。さらに、1972年に県と町が予定地域の3総代と結んだ「地元の了承なしに造らない」との覚書についての考え方を質問。山口町長は「調査するために結んだもので、(調査を終えた)現時点で効力はないと考えている」と答えた。
一方、事業推進の立場からは波戸勇則議員が「(予定地に住む)13世帯約60人も同じ町民。起業者ではないが、町長として反対地権者と直接話をして協力を求めていくべき」と述べた。
日曜議会は議会活性化を目的に開き、2014年6月定例会以来、2回目。約60人が傍聴した。