2013年2月2日
国交省関東地方整備局(以下、関東地整)は、1月29日に利根川水系河川整備計画の原案をホームページで公表し、昨日2月1日の午前中に関係都県会議を開き、そこで利根川・江戸川河川整備計画原案についてのパブリックコメントと公聴会の日程を発表しました。
平成25年2月1日 記者発表資料 関東地方整備局河川部
http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/river_00000068.html
「利根川水系利根川・江戸川河川整備計画(原案)」に対する意見募集の実施及び公聴会の開催について」
●利根川水系利根川・江戸川河川整備計画(原案)[PDF:6343KB]
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000072612.pdf
●パブリックコメントの募集期間
平成25年2月1日(金)~平成25年3月2日(土) 18:00必着
(郵送の場合は当日消印まで有効)
●公聴会
*開催日時
平成25年2月24日(日)~26日(火)の3日間
①10~12時、②13~15時、③15~17時のうち、ご希望の時間帯
*開催会場(以下の4会場で同日開催となります。)
会場① :国土交通省高崎河川国道事務所 群馬県高崎市栄町6-41
会場② :さいたま新都心合同庁舎 埼玉県さいたま市中央区新都心2-1
会場③ :国土交通省利根川上流河川事務所 埼玉県久喜市栗橋北2-19-1
会場④ :水辺交流センター(水の郷さわら内)千葉県香取市佐原イ4051番地3
*公述人募集対象者
茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都(1都5県)に在住の方
*公述人募集期間
平成25年2月1日(金)~平成25年2月12日(火)18:00必着(郵送の場合は当日消印まで有効)
パブリックコメント、公聴会への応募方法、書式等については、こちらに詳しい説明が掲載されています。
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000073039.pdf
パブリックコメントも公聴会も、それぞれ河川整備計画の策定における意見聴取という手続きの一環です。関東地整の発表した原案には、今後30年の計画として、八ッ場ダムをはじめとする大型公共事業が列記されており、これらに問題があると考える一般国民が意見を言うことができる場として、これらの手続きがあります。ただし、パブリックコメントは国民全般が応募できますが、公聴会は利根川流域住民のみに応募資格があります。
関東地整は、意見聴取の後、原案を整備計画案とし、関係都県の意見を聴いた上で計画を策定する予定です。今年度末から来年度早々に計画を策定する考えのようです。
昨年9~10月に開催された利根川・江戸川有識者会議では、有識者委員らから、河川整備計画の原案に盛り込まれた治水目標流量が八ッ場ダムを推進するために過大に設定されていると、根本的な疑問が提起されたのですが、関東地整は議論を一方的に打ち切り、10月から三ヶ月間、有識者会議を延期してきました。
さらに、有識者委員や国会議員らからは、利根川水系の河川整備計画を策定するのであれば、本川だけでなく、水系全体の整備計画を策定しなければ、河川法の趣旨に沿わず、科学的妥当性も保障されないとの指摘が相次いできました。公表された原案は、危惧された通り本川だけの整備計画です。利根川流域の首都圏では、八ッ場ダム等の大型公共事業を推進することが自己目的化した無茶苦茶な手法で、今後30年の整備計画が決められようとしています。
1997年の改正河川法の趣旨は、パブリックコメントや公聴会によって、河川整備計画に国民や流域住民の意見を反映させることとされていましたが、八ッ場ダムに関連して関東地整が実施してきた意見聴取は、これまですべて単に意見を聞き置くだけのものでした。実際、どの意見聴取でも、埼玉県において自民党県議による「やらせ」が発覚した2011年秋のパブリックコメント除けば、八ッ場ダムに対する反対意見が圧倒的多数という結果であり、多数意見に配慮すれば、八ッ場ダム事業の推進は困難な状況にあります。2011年の公聴会では、八ッ場ダムに賛成する住民は、地元長野原町の役職者と埼玉県職員や県と関わりの深い団体関係者のみでした。
今回のパブリックコメントと公聴会も、関東地方整備局にとっては面倒な通過儀式でしかないでしょう。それでも問題意識をもつのであれば、そのような場を通じて関東地方整備局の計画や手法に疑問を投げかけることが、河川行政の民主化をめざすためには必要です。
是非、多くの皆さんに、ご意見を表明していただきたいと思います。