東日本大震災で決壊した福島県の藤沼ダムの復旧工事が終わり、まもなく貯水試験が行われることが地元紙で報じられています。
藤沼ダムは1949年度に福島県が築造した農業用ダムです。震源地から遠い福島県内陸部にあり、現地の震度は震度6弱であったとされますが、死者・行方不明者8人、家屋被害124戸という甚大な被害をもたらしました。
決壊の原因と復旧工事について、福島県による報告書や論文がネット上に公表されています。
・「藤沼湖の決壊原因調査報告書(要旨)」 平成24年1月25日 福島県農業用ダム・ため池耐震性検証委員会
http://www.pref.fukushima.lg.jp/download/1/nosonkeikaku_kensyo_houkoku1-1.pdf
・「藤沼ダムの決壊原因と復旧方針について」(農業農村工学会誌)
http://www.jsidre.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2016/03/r_14_83-10.pdf
◆2017年1月5日 福島民報
http://www.minpo.jp/news/detail/2017010537845
ー須賀川「藤沼ダム」4月末供給再開 18日にも貯水試験開始ー
東日本大震災で決壊し、復旧工事が進む須賀川市の「藤沼ダム」について、橋本克也市長は4日、4月末に農業用水の供給を開始すると発表した。今月18日にも貯水試験を開始する。
昨年末までに盛り土などを終え、堤体が完成した。貯水試験はダムを1週間程度、満水にし、漏水量やダム内に設置した水圧計などの機器が正常に作動するかを確認する。試験で異常がなければ今春のコメの作付けに合わせて水を供給する。
ダムの貯水面積は約20ヘクタールで、貯水量は決壊前と同じ約150万トン。市内の約837ヘクタール(779戸)に給水する。復旧費は約68億円。
ダムは市所有だが、県が工事を代行した。基本構造は「中心遮水型フィルダム」形式と呼ばれ、東日本大震災規模の地震にも耐えるとされる。
市役所仮設庁舎で記者会見した橋本市長は「決壊で多くの被害が出た教訓を忘れることなく、ダムを地域振興に役立てていく」と語った。
ダム専門家らによる県藤沼ダム復旧委員会は5日、東京都内で会合を開き、貯水試験開始を了承する見通し。