兵庫県の武庫川ダム事業は、1983年の台風を契機に構想されましたが、市民参加の武庫川流域委員会で議論を行った結果、不要性とダムによるマイナス面が明らかとなり、2011年に中止が決定しました。
この武庫川の支流に100年近く前に造られた神戸市水道局の利水専用ダム、千苅(せんがり)ダム(1919年竣工)を治水に利用する調査が行われることになったと報道されています。
★参考
・神戸市公式サイトより 千苅貯水池のあらまし
http://www.city.kobe.lg.jp/life/town/waterworks/water/suidou/03_03.html
(写真右=千苅堰堤 下流側 上記ホームページより)
・同サイト 千苅貯水池のあゆみ
http://www.city.kobe.lg.jp/life/town/waterworks/water/suidou/03_03b.html
大正3年(1914年)5月に着工し、5年の歳月を要する大工事の後、大正8年(1919年)5月10日に完成。
・文化遺産オンライン 神戸市水道局 千苅ダム
http://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/147605
◆2017年4月5日 神戸新聞
https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201704/0010066750.shtml
ー神戸・千苅ダム 治水利用に向け、県が調査着手へー
兵庫県は2017年度、神戸市が管理する利水専用の「千苅(せんがり)ダム」(同市北区道場町)について、治水利用に向けた調査に着手する。武庫川流域の水害を防ぐため、雨量の多い7~9月に水位を下げておき、雨水をためられる容量を確保しておくことを検討。放流用の稼働堰(ぜき)(ゲート)を設けるなど、えん堤が改修できるか強度を調べる。(斉藤正志)
千苅ダムは神戸市で最大の上水道専用貯水池。約1160万立方メートルの水をためておくことができ、北区を中心に給水している。
治水利用は、県の諮問機関「武庫川流域委員会」などの議論を受け、県が11年に策定した武庫川水系河川整備計画(11~30年度)で検討課題と位置付けていた。
これを受けた県と市の協議では、大雨時の貯水容量を空けておくため、事前放流することによる水質の変化や、水不足になった場合の代替水源の確保が課題となっていた。
事前放流は大雨の直前にせず、6月に数週間かけて実施することを検討。生活用水に適さない表層や底の水が、取水する中層の水に混じるのを最小限に抑える。7月から3カ月間、水位を1メートル下げておくことで、下流に流れ込まないよう雨水をためる容量を100万立方メートル(25メートルプール2500個分)用意できるという。
代替水源についても、青野ダム(三田市)を水源とする三田浄水場(同)から、西宮市内へ連絡管を整備する県企業庁の計画を活用。途中で連絡管を神戸市の管路とつなぎ、水不足時には青野ダムから供給を受けることを考えているという。
県は17年度当初予算に、調査費用1億円を計上。1919(大正8)年に整備された千苅ダムのえん堤が工事に耐えられるか、構造や地盤の強さなどを調べる。調査結果を受け、県と市は治水利用の具体化に向けた細部の検討に入る。国土交通省によると、利水ダムの治水利用が実現すれば、全国的にも珍しいという。