八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

八ッ場ダム本体工事現場の脇を通る国道の災害防除工事(その2)

 八ッ場ダム事業によってつくられた国道の法面において、地すべりによる変状があり、災害防除対策工事が行われていることを以下のページでお伝えしました。
 https://yamba-net.org/wp/?p=20385

DSCF0025 この工事は三期に分かれており、三段ある法面の小段を下から順番に工事していくようです。現在実施されているのは一期工事です。
(写真右=災害防除工事が実施されている付替え国道は首都圏と草津温泉を結ぶ重要な観光ルート。工事現場の先は吾妻渓谷を抜けるトンネル。トンネル入り口右手が八ッ場ダム本体工事現場。2017年4月2日撮影。)

 昨日、二期工事の資料が群馬県より情報開示されました。二期工事は今年2月28日に契約しており、完成期日は開示資料によれば7月31日です。

 開示された図面を掲載します。以下の文字列あるいは図をクリックすると、拡大した図面が表示されます。

道路災害防除工事平面図(二期工事)
キャプチャ

道路災害防除工事標準断面図(二期工事)
キャプチャ断面図

 これまでの開示資料を地すべり問題の専門家に見てもらったところ、次の指摘がありました。

「行政は地すべりではないと説明しているとのことだが、地すべり調査を行い、地すべりの計算式で分析を行い、地すべり対策工事を行っており、実際には地すべりであることを認識していると考えられる。
 この地層は酸性熱水変質帯で、強酸性の水が染み出してきている。そのために地表面の地層が変色している。
 ところが、工事中のグランドアンカー工法は耐酸性の工法になっていない。アンカーにPC鋼が使われているが、鉄は酸性下で腐食していく。プラスチックの膜で被覆されているが、この膜は物理的に弱く、PC鋼の一部が露出してしまう。炭素繊維を使うべきである。
 また、充てん剤にセメントミルクが使われているが、耐酸性にするためには二液混合タイプのものを使うべきである。
 耐酸性の材料は費用が高いので、通常の仕様にしたのであろうが、長期的には強度を維持できない可能性が高い。」

 国道の災害防除工事は、三期の工事費の合計が1億5千万円に達します。国交省が八ッ場ダム事業によって国道を建設した後、2010年以降、管理は三桁国道として群馬県に移されました。今回の工事費は群馬県が国交省の交付金制度を使って、県負担1/2、国負担1/2工事費で行っているということです。
 1億5千万円もかけて、地すべり対策工事が行われていますが、近い将来にさらに追加工事が必要となるのではないでしょうか。

法面の下の段からアンカーボルト工を行っている。2017年4月2日撮影。
アンカーボルト