凄まじい自然環境の破壊、将来世代への負の遺産の建設は八ッ場ダムだけではありません。
八ッ場ダムに先がけて本体工事が始まった北海道のサンルダムでは、ダム堤が出来上がりつつあるようです。
【参照】国交省北海道開発局 旭川開発建設部 「サンルダム事業のあゆみ」
http://www.hkd.mlit.go.jp/as/tisui/ho928l0000001o7i.html
サンルダムについての近況を「流域の自然を考えるネットワーク」よりお伝えいただきましたので、写真(稗田一俊さん撮影)と記事を紹介させていただきます。
「サンルダムに7kmもの魚道。これでサクラマス資源は残る?」(2017年8月28日)
http://protectingecology.org/report/7328
記事の一部を転載します。
「サクラマスが群れを成して自然産卵し、産卵環境として申し分のないサンル川だった。次の世代に受け渡して行く遺産でもあった清流サンルの川が、何故、こんなことになってしまったのか? 無念としか言いようがない。夜が明けてからの現場を見るのは辛いが、その行く末を見届け、こんなバカげた事業が二度と起きないように現場から声を上げなければならない。」
—転載終わり—
サンルダムが建設されているサンル川は、北海道で2番目に長い手塩川の支流、名寄川のそのまた支流です。
(下の画像は絵本「世界にたった一つのサンル川」(北海道の森と川を語る会「サクラマスまもり隊!」より。)
小さなサンル川に建設されつつある堤高46㍍、堤頂350㍍のサンルダムの事業費は559億円、工期は2018年度です。
(八ッ場ダムは堤高116㍍、堤頂長290.8㍍、ダム完成予定は2019年度)
サンルダム建設の主目的は、「名寄市を洪水から守る」ためとされますが、巨大ダムを建設しなくとも、一部の川幅が狭い所や堤防のない所の整備など、安価な水害対策はいくらでもありました。また、下川町の水源開発も目的になっていますが、サンルダムによって下川町が取水できる水量は僅か毎秒1.5㍑にすぎません。
八ッ場ダム事業では2015年1月に本体工事が始まりましたが、国交省北海道開発局が進めるサンルダム事業では、2013年に八ッ場ダムに先がけて本体工事が始まりました。
サンル川に生息する生き物の中で、特に注目されてきたのがサクラマスです。サンルダム事業では7キロもの魚道をつくり、ダム事業者は環境に配慮したとアピールしていましたが、誰が見ても取り返しのつかない環境破壊であることは明らかです。