鬼怒川水害が起きてから9月10日で2年経ちました。
水害当時の死者が3人で、その後、関連死として認定されたのが6人です。認定は6人ですが、被災者で亡くなった方はもっと多いと聞きます。四十五世帯の百十二人が避難生活を続けています。
現在の河川行政は、八ッ場ダムなどの巨大ダムの建設に偏重しています。鬼怒川水害は堤防整備を怠ってきた国土交通省の瑕疵がもたらしたものです。国家賠償を求める裁判を起す期限はあと1年になりました。
◆東京新聞茨城版 2017年9月10日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201709/CK2017091002000144.html
ー鬼怒川決壊 きょう2年 100人超 今なお避難生活ー
関東・東北水害により常総市の鬼怒川堤防が決壊してから十日で、二年になった。市によると、八月三十日現在で、四十五世帯の百十二人が避難生活を続けている。避難者に住宅を無償提供する期限は今秋で終わるが、市の聞き取り調査では、行き先が決まっていない人たちもいる。(宮本隆康)
市によると、無償で提供される住宅には、水害で自宅が壊れ、建て替えや大規模修理のめどが立たないなど、短期間で戻れない被災者らが入居した。つくば市内の旧国家公務員宿舎、県営住宅、借り上げ民間住宅の三種類。使用期間は最長二年間とされ、今月末から十二月初めにかけて期限を迎える。避難者は今後、住宅を新築したり、自分で新たに賃貸住宅を借りることになる。
避難者への市の意向調査では、四十五世帯のうち、常総市内で転居する予定は二十三世帯、市外への転出予定が十二世帯、残る十世帯が未定だった。高齢者は市内に戻る人が多く、若い世帯では、つくば市内で賃貸住宅を借りる人もいるという。市は「生活のめどが全く立たないような避難者はいない」と説明する。
水害では、最大で高さ四メートルの鬼怒川の堤防が長さ二百メートルにわたって決壊。これらを含め、国土交通省は三年後の完成を目標に、全長四十四キロで堤防を集中的に整備している。民有地も多く、買収の必要があり、整備に時間がかかっている。
決壊で、市の面積の三分の一に当たる約四十平方キロが浸水した。県によると、市内で四千人以上が救助され、四十四人が負傷し、住宅五千五百棟が全半壊した。死者数は昨年十二月、常総市内の五十~九十代の男女六人が災害関連死と認定され、九人に増えた。
十日には、自主防災組織や市の防災の取り組みの成果を発表する催しが市生涯学習センターで開かれる。常総市三坂町の決壊現場では、石碑が除幕される。
◆被災者を元気に きょう屋外上映会
水害で被災した人たちを元気づけようと、常総市宝町の閉館した映画館「宝来館」の跡地で十日午後五時四十五分から、屋外上映会が開かれる。
駅通り商店街で婦人服店を経営する羽富都史彰さん(57)が企画し、市商工会が主催する。上映されるのは、高齢者の婚活をテーマにした吉行和子さん主演の「燦燦(さんさん)」。出演している俳優の山本学さん、監督の外山文治さんも訪れて、被災者らと触れ合う。
会場では、手描きの映画看板の展示会も開かれる。問い合わせなどはロコレディ水海道本店=電0297(22)1378=へ。
◆2017年9月10日 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170910/k10011133701000.html
ー茨城 鬼怒川決壊から2年 生活再建が課題にー
関東・東北豪雨で鬼怒川の堤防が決壊してから10日で2年です。茨城県内の被害が大きかった地域では、今もおよそ100人が自治体から無償で提供された公営住宅などで避難生活を続けていますが、入居できる期間の終了期限が迫っていて、被災者の住宅確保や生活再建が課題となっています。
おととし9月の関東・東北豪雨では、茨城県常総市で鬼怒川の堤防が決壊し、多くの住宅が水に押し流されました。
茨城県内では、3人が死亡、その後、6人が災害関連死と認定され、住宅などおよそ5600棟が全半壊して最大1万人以上が避難生活を余儀なくされました。
常総市では、先月30日の時点で、依然として45世帯112人が自治体から無償提供された隣のつくば市の公営住宅などで避難生活を続けていますが、無償提供の期間は原則入居から2年で、今月から12月までに順次、打ち切られます。
常総市では、被災者に対して県営住宅に優先的に入居できる制度や子育て世帯などを対象に、住宅の取得や改修に補助金を出す制度の利用などを呼びかけていくことにしていますが、被災者の住宅確保や生活再建をどうすみやかに進めるかが課題となっています。
◆2017年9月10日 産経新聞
http://www.sankei.com/affairs/news/170910/afr1709100006-n1.html
ー東日本豪雨・鬼怒川決壊2年 転出続き戻らぬ活気ー
平成27年9月に茨城県常総市の鬼怒川の堤防が決壊した東日本豪雨から10日で2年を迎えた。生活やなりわいの再生が進む一方、転出したまま戻らない人も多く、商店街は徐々に衰退。自力で家を建てられない高齢者は住んでいた元の地区を離れ、孤立が懸念される。市商工会によると、27~28年度に水害を原因として約50の事業者が廃業。市の人口は水害後1年で800人以上減った。減少のペースは前年の約3倍で、水害が起こる街には住みたくない、と転出した若い世帯や、避難先に住み着いたケースがあり、水害前の活気は戻っていない。
総務省消防庁によると、東日本豪雨では宮城、茨城、栃木3県で計8人が死亡。常総市では市の面積のおよそ3分の1に当たる約40平方キロが浸水、5千棟以上が全半壊した。災害関連死も同市で6人が認定された。