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九州北部豪雨の爪痕、流木の回収作業が難航

 今年7月の九州北部豪雨では大量の流木が発生し、被害を拡大しました。この流木の回収作業が難航しています。
 以下の記事によれば、「流木は20万トン超」、「まだ全体で数万トン以上の流木が被災地に残っているとみられる」、「地中に埋まった流木は基本的に数えられておらず、処理すべき量が増える可能性もある」ということです。

◆2017年10月5日 西日本新聞
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/363682/
ー山の流木回収難航 作業に手間、二次災害懸念 九州豪雨3ヵ月ー

 九州豪雨では大量の流木発生が被害を大きくしたが、福岡県内ではその撤去が難航している。20万トン超(ダム内を除く)とされる流木を、県は2019年3月までに処理する計画を立てているものの、山間部を中心に回収に時間がかかっている。作業が長引けば台風や大雨で下流域に流れ出す二次災害の懸念も大きくなるが、課題は多い。

 大分自動車道・朝倉インターチェンジから、山側へ約3キロ入った福岡県朝倉市の妙見川上流部。雨に見舞われた2日、九州豪雨で岸辺が削られ川幅が数十メートルに広がった川底で、5台ほどの重機がうなりを上げた。

 川底には、豪雨でなぎ倒され押し寄せてきた大量の流木が土砂に埋もれている。幅10メートルほどで蛇行する濁り水の脇で、重機が流木を掘り出し、大型ダンプで搬出する作業が続く。

 「木材を搬出するだけの作業に比べると効率が格段に悪い」。重機を操縦していた男性作業員はそう言い、汗を拭った。
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 県は流木20万トン超のうち、国道沿いなど国処理分などを除いた7万トンを県処理分と想定し、補正予算を組んで回収を実施。しかし9月末時点でも約4万トンの回収にとどまっている。朝倉市は未集計で、東峰村は約6割を回収できたと推計しているが、まだ全体で数万トン以上の流木が被災地に残っているとみられる。

 さらに、これまで回収が済んだのは幹線道路沿いや平地に近い場所にある河川敷が中心。今後は妙見川上流部のような山間部、急傾斜地などで進められ、これまでよりスピードが遅くなることが予想される。

 そもそも20万トン超の推計量は、被災地の二つの河川を撮影した航空写真で見つかった流木の範囲を基に算出されている。地中に埋まった流木は基本的に数えられておらず、処理すべき量が増える可能性もある。
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 回収後の流木は、県が既に処理、活用方針を公表している。

 計画では、まず県内12カ所の1次仮置き場に集積。10月中旬からは、筑後市の下水道施設「矢部川浄化センター」の敷地に確保している2次仮置き場に運び出す。ここに破砕機を設置してチップ化し、火力発電などに11万トン▽セメント燃料・原料用に3万トン-として有効活用する。このほか焼却(チップ化)は6万トン、木材のまま利用が0・5万トンと見込んでいる。

 チップなどの受け入れ先は、県の呼び掛けに九州内の31カ所の施設が応じており、19年3月末までに処理を終える予定だ。

 一方で、31施設のうち、どこに、いつから受け入れてもらうか、運搬方法をどうするかといった具体的な計画は「今まさに詰めている段階」という。県は運搬費、処理費などで約65億円を計上しているが、処理量が増えれば、費用がさらに膨らむ恐れがある。

 県は、65億円でも不足する場合、新たに予算を組んで対応する方針。ただ流木撤去が終わらなければ、河川や道路の復興工事が進まない面もあり、県廃棄物対策課の担当者は「流木撤去は優先事項で、処理完了時期をずらすつもりはない」と強調する。