八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

厚幌ダムが沈めるアイヌの遺跡

 北海道が建設中の厚幌(あっぽろ)ダムは、アイヌ民族の貴重な遺跡をダムの湖底に沈めます。
 厚幌ダムの建設地は、石狩低地帯の東縁に位置し、北は夕張山地、南は太平洋に面している厚真町です。

 本体工事を受注した共同事業体による厚幌ダムのページはこちらです。
 http://apporodam.main.jp/wp/
 厚幌ダム本体建設工事

 八ッ場ダムより2ヶ月早い2014年10月に本体工事に着工した厚幌ダム事業では、すでに堤体が完成し、今月から試験湛水が始まったということです。
 八ッ場ダム予定地には多くの遺跡があり、160億円以上をかけて発掘調査が進められていますが、以下のページによれば、厚幌ダム事業に伴い発掘調査を行ったのは13遺跡に上ります。
 http://ci.nii.ac.jp/ncid/BA76561290
  
◆2017年10月4日 朝日新聞北海道版
http://digital.asahi.com/articles/CMTW1710040100002.html
ーダムに沈む遺跡、先祖を供養 厚真ー

(写真)完成した厚幌ダムの堰堤前で神々や先祖に祈りを捧げる人たち=厚真

■アイヌ民族の伝統儀礼

 厚真町の厚真川上流の厚幌(あっぽろ)ダム堰堤(えんてい)が完成し、ダムに水をためる試験湛水(たんすい)が2日から始まった。これに先立つ1日、アイヌ民族による伝統儀礼「カムイノミ」(神々への祈り)と「イチャルパ」(先祖供養)が営まれた。

 高さ47メートル、堤長516メートルの堰堤をのぞむ管理棟広場に、地元の厚真町をはじめ、むかわ町、苫小牧市、白老町のアイヌ協会の会員らが集って祈りを捧げた。

 厚幌ダム建設地の遺跡発掘調査では、アイヌ民族が砦(とりで)や儀礼の場に使ったとされる「チャシ」跡や人骨、副葬品を含む墓の跡など、アイヌ文化の成り立ちや変遷を知るうえで貴重な遺物が見つかった。

遺跡は記録保存されてダム湖の底に沈むため、現場では毎年カムイノミとイチャルパを行って先祖を供養してきた。(深沢博)

◆2014年10月6日 朝日新聞北海道版
http://blog.goo.ne.jp/ivelove/e/d9b0ecd075508e4e7a1b993835348e7b
ーダム湖に沈む遺跡でアイヌ民族伝統儀礼ー

 厚真町の厚真川上流で道が建設を進めている厚幌(あっぽろ)ダムの水没予定地にある遺跡発掘現場で5日、アイヌ民族の伝統儀礼「カムイノミ(神々への祈り)」と「イチャルパ(先祖供養)」が行われた。
 厚幌ダムは2017年度の完成をめざし、間もなく本体工事に入る。ダム建設に伴って町教育委員会などが進めている発掘調査で、アイヌ民族が砦(とりで)や儀礼の場に使ったとされるチャシ跡や、人骨や副葬品を含む墓の跡など、アイヌ文化の成り立ちや変遷を知るうえで貴重な遺物が発掘されている。
 この地でカムイノミが行われて7年目。一昨年は「ヲチャラセナイ遺跡」のチャシ跡で最後のカムイノミを行い、今年は昨年に続き、「ショロマ1遺跡」の発掘現場で苫小牧アイヌ協会の澤田一憲会長を祭司に執り行われた。
 古式舞踊も披露され、アイヌ民族の伝統料理に舌鼓を打ったあと、町教委の学芸員の案内で五つの墓が確認された「上幌内2遺跡」を見学した。厚真アイヌ協会の織田登会長は「水没するまで遺跡で神々に祈りをささげ、先祖を供養したい」と話した。(深沢博)