2013年2月22日
八ッ場ダムの建設根拠として国交省が採用している利根川の洪水目標流量は、計算式によって求められています。
この計算式は右辺と左辺の次元が異なるという、一般の計算式では考えられない根本的な欠陥を抱えており、先進各国では採用されていません。
八ッ場ダムの本体工事を正当化するために国交省がいつまでたってもこの計算式に固執していることに、科学者から批判の声が挙がっています。岩波書店の雑誌「科学」三月号には、物理学者の冨永靖德氏の論考が掲載されるとのことです。
有識者会議の有志委員らは、冨永氏を有識者会議に招聘し、参考意見を求めることを提案し、有識者各委員に以下の文書で申し入れを行いました。
2013年2月21日
利根川・江戸川有識者会議委員 各位
新潟大学名誉教授 大熊 孝
拓殖大学准教授 関 良基
参考人招聘のお願い
第8回利根川・江戸川有識者会議(2013年2月14日)において、貯留関数法における運動の式の両辺の次元が異なることが話題となった。この点は貯留関数法における具体的計算に大きな影響を与えるので、詳しい議論が必要だと考える。物理学者の冨永靖德氏(略歴・下記参照)がこの点に関して詳しいので、第10回利根川・江戸川有識者会議に参考人として招聘し、意見を聞くことを提案する。
よろしくご審議ください。
略歴
氏名:冨永靖德 (とみながやすのり) (生年月日:1944.5.10 68歳)
◆ 学歴・職歴
1973(S.48)年3月 東京大学大学院理学系研究科博士課程
物理学専攻 終了 (理学博士)
1973(S.48)年4月〜1978年1月
東京大学物性研究所 助手
1978(S.53)年1月〜1988年7月
お茶の水女子大学 理学部 助教授
1988(S.63)年8月〜1997年3月
お茶の水女子大学 理学部 教授
1997(H. 9)年4月〜2010年3月
お茶の水女子大学大学院 教授
◆ 現在:お茶の水女子大学名誉教授
◆ 専門:化学物理
<水を代表とする水素結合物質の分光学的研究>
◆ 備考:「貯留関数法の魔術 ─ダム事業を根拠づけるデータの非科学性」
岩波書店「科学」3月号に掲載予定