2013年2月22日
昨日、利根川・江戸川有識者会議が開かれ、大熊孝新潟大学名誉教授、関良基拓殖大学准教授が以下の二つの意見書を有識者会議の各委員に提出しました。
それぞれの意見書の全文は、以下のPDF資料をクリックしていただくと、ご覧いただけます。
これらの意見書は、国土交通省関東地方整備局が採用している八ッ場ダムの治水上の建設根拠に関するものです。
「カスリーン台風実績流量に関する意見書」は、八ッ場ダム計画のきっかけとなったカスリーン台風直後、利根川の実績流量を上流ダム群の建設を推進するために過大に推定したことを示す当時の建設省の内部資料を取り上げています。
また、「利根川水系河川整備計画の治水目標流量に関する意見書」では、民主党政権下で行われた日本学術会議による検証が、八ッ場ダム事業を正当化するために、推測をまじえたきわめて曖昧な判断に基づいて結論を導き出したことを指摘しています。
これらの意見書を読むと、カスリーン台風直後の昭和22~24年当時も、民主党政権下の平成23年当時も、ダム建設を推進したい行政の思惑が、科学的な議論を封じた経過がわかります。
昨年9月から断続的に開かれてきた利根川・江戸川有識者会議では、国交省関東地方整備局が示す八ッ場ダムの建設根拠について、大熊、関委員らがその非科学性を次々と暴いてきましたが、宮村忠座長は、行政判断を尊重すると繰り返し、他の委員の中には殆ど発言がなかったり、出席しなかったりという「有識者」も少なくありません。
八ッ場ダムの建設根拠が科学的な検証に耐えないことは、学者であれば誰でもわかることです。けれども、八ッ場ダム事業には昭和42年から多額の税金が投入されてきており、当時は反対したダム予定地の住民も今は亡く、地域はズタズタにされ、国交省としては今さら八ッ場ダムの建設根拠はでっち上げだったとは、国民に対しても、地元住民に対しても認めるわけにはいきません。苦しい立場の国交省をかばうために、御用学者はウソにウソを重ねます。それが大人の判断だと思っているのかもしれませんが、「裸の王様」のご機嫌をとっているにすぎません。