2013年3月29日
本日、東京高裁で八ッ場ダム住民訴訟の控訴審判決がありました。予想された通り、司法は自ら判断することをせず、原告敗訴の判決でした。
判決文の問題は改めてお伝えします。
関連記事を転載します。NHKのサイトでは、原告の記者会見の模様がビデオで見られます。
◆2013年3月29日 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130329/k10013544141000.html
-八ッ場ダム 2審も訴え退けるー
国が群馬県に建設を進めている八ッ場ダムについて、東京の市民グループが、「必要性がない」として事業費の一部を東京都が負担するのは不当だと訴えた裁判は、2審の東京高等裁判所でも訴えが退けられました。
この裁判は、国が群馬県に建設中の八ッ場ダムについて、東京の市民グループが、「水の需要は将来的には減り、治水効果も期待できない」と主張して、東京都が事業費の一部、およそ870億円を負担するのは不当だと訴えたもので、1審はダムの必要性を認めて訴えを退けていました。
29日の2審の判決で、東京高等裁判所の大竹たかし裁判長は、「都は、非常時などに備えて余裕をもって水を確保する必要があり、洪水の防止のうえでも都が利益を受けないとはいえない」と指摘し、1審に続いて、訴えを退けました。八ッ場ダムの事業費の負担を巡っては、東京都のほかに群馬県など関東の5つの県でも裁判が起こされていますが、1審ではいずれも訴えが退けられ、今回が初めての2審の判断となります。
判決について、「八ッ場ダムをストップさせる東京の会」の深澤洋子代表は、「行政の裁量をただ認めるだけなら裁判所の存在意義がないと失望している」と述べました。
また、弁護団は「最初から結論ありきの不当な判決だ」として、上告する方針を明らかにしました。一方、東京都は、「妥当な判決で、当然の結果と認識しています。八ッ場ダムの早期完成に向けて事業を推進していきます」というコメントを出しました。
◆2013年3月29日 読売新聞
http://news.livedoor.com/article/detail/7545958/
-八ッ場ダム支出差し止め訴訟、2審も住民ら敗訴ー
国が群馬県で建設中の「八ッ場(やんば)ダム」を巡り、市民団体のメンバーが東京都側に事業負担金の支出の差し止めなどを求めた住民訴訟の控訴審で、東京高裁(大竹たかし裁判長)は29日、原告側敗訴の1審・東京地裁判決を支持し、原告側の訴えを退ける判決を言い渡した。
事業費約4600億円のうち都の負担分は約635億円。原告側は「利水・治水の両面でダムは必要ない」と主張したが、判決は「将来的に水需要が増えるとした都の予測が不合理とは言えない」と退けた。
同じ訴訟は、負担金を支出する関東の5県を相手に起きており、1審は全て原告側が敗訴(控訴中)。控訴審判決は今回が初めて。
同ダムは2009年、民主党の前原元国交相が建設中止を表明して工事が凍結されたが、11年に建設続行が決まった。
◆2013年3月29日 SankeiBiz
http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/130329/cpb1303291439001-n1.htm
-八ツ場ダム訴訟、建設反対派が2審も敗訴 東京高裁 ー
八ツ場(やんば)ダム(群馬県)への建設負担金の支出は違法として、建設に反対する市民団体が流域6都県に支出差し止めなどを求めた訴訟で、東京都分の控訴審判決が29日、東京高裁であった。
大竹たかし裁判長は請求を退けた1審東京地裁判決を支持、住民側敗訴の判決を言い渡した。
1審段階では6都県の地裁で請求がいずれも退けられており、控訴審判決は今回が初めてだった。
市民団体側は訴訟を通じ、水道用水を確保する利水について「都内では生活用水の使用量は減少傾向にあり、都の水需要予測は過大」と主張。水害を防ぐ治水効果も乏しいと訴えた。
しかし、1審東京地裁は「首都で渇水が生じれば大きな混乱が生じるのは想像に難くない」などとして利水上の有用性を認定。治水面でも「流域で生じる水害の発生を防止するためにダムは必要」と判断し、請求を退けていた。
八ツ場ダムは昭和27年に建設計画が浮上。地元は激しい反対運動の末に補償案を受け入れたが、「コンクリートから人へ」をスローガンに掲げた民主党への政権交代に伴い平成21年9月、前原誠司国交相(当時)が本体工事の中止を表明した。
その後計画中止は撤回されたが、現在もダム本体工事は始まらず、完成のメドは立っていない。
総貯水量1億750万トンの多目的ダムで、総事業費は国内最高の約4600億円。群馬、東京、千葉、埼玉、茨城、栃木の6都県が半分以上を負担する。
◆2013年2月29日 共同通信配信
(信濃毎日新聞、山梨日日新聞などに掲載)
http://www.sannichi.co.jp/kyodo/news2.php?genre=National&newsitemid=2013032901001913
ー八ツ場ダム二審判決も住民敗訴 6都県の訴訟ー
国が建設を進める八ツ場ダム(群馬県長野原町)は不要で、東京都が事業費を負担するのは違法として、都を相手に支出差し止めなどを求めた住民訴訟の控訴審判決で、東京高裁(大竹たかし裁判長)は29日、一審東京地裁に続き、住民側敗訴を言い渡した。
2004年に利根川流域の1都5県で一斉提訴された住民訴訟で最初の二審判決。ほかの5地裁でも住民側が敗訴し、東京高裁に控訴している。
東京地裁判決後の09年8月、マニフェスト(政権公約)に建設中止を掲げた民主党が衆院選で圧勝。しかし野田政権が11年12月、中止を撤回し再開を決めた。
◆2013年3月30日 読売新聞群馬版
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20130329-OYT8T01944.htm
-「八ッ場」訴訟 2審もダム必要性認定ー
東京都が八ッ場ダム(長野原町)の事業負担金を支出するのは違法として、市民団体メンバーが都知事らを相手取り、支出差し止めなどを求めた住民訴訟の控訴審判決が29日、東京高裁であった。
大竹たかし裁判長は、原告側の訴えを全面的に退けた1審・東京地裁判決を支持し、原告側の訴えを再び退ける判決を言い渡した。
住民訴訟は2004年、負担金を支出している1都5県の6地裁で起こされ、いずれも原告側が敗訴。今回が初めての控訴審判決となった。
八ッ場ダムの事業費は約4600億円で、利水や治水の受益に応じて1都5県が事業費の一部を負担している。
都の負担は約635億円で、原告側は「利水・治水の両面からダムは必要ない」と支出差し止めなどを求めたが、判決は「将来的に水需要が増えるとした都の予測が不合理とは言えない」などとして、原告の訴えをいずれも退けた。
原告全面敗訴の控訴審判決に、ダムの早期完成を求める地元住民や県内の自治体幹部は胸をなで下ろし、同様の訴えを起こしている県内の住民団体メンバーは落胆の表情を浮かべた。
八ッ場ダムの地元・長野原町の高山欣也町長は「思った通りの判決。もし、ダムが必要ないということになれば、地元住民の60年間の苦労は何だったのかということになる」と安堵(あんど)の声を上げた。
八ッ場ダム水没関係5地区連合対策委員会の篠原憲一事務局長も「結果は当然」と語った。
大沢知事は「妥当な判決。国は1日も早くダム本体工事に着工し、地域住民がこれ以上、不安に思わないよう取り組んでもらいたい」と注文した。
一方、群馬県知事らを相手取り、同様の訴訟を前橋地裁に起こして東京高裁で係争中の「八ッ場ダムをストップさせる群馬の会」の鈴木庸事務局長は「期待を裏切られた判決。司法が、政府のご機嫌取りに終始している」と不満をあらわにした。
◆2013年3月30日 上毛新聞
http://www.jomo-news.co.jp/ns/6013645709597679/news.html
(ネット記事は冒頭部分のみ)
-八ッ場訴訟で東京高裁判決 住民側再び敗訴 都の支出 違法性否定ー
国が長野原町で建設を進める八ッ場ダムは不要で東京都の事業費負担は違法だとして、建設見直し派の市民グループが都を相手に支出差し止めなどを求めた住民訴訟の控訴審判決が29日、東京高裁であった。
大竹たかし裁判長は「適正な予算執行の見地から見過ごせない問題があるとは言えない」と支出の違法性を否定し、一審東京地裁に続き、住民側敗訴を言い渡した。住民側は上告する方針。
2004年に本県など利根川流域の1都5県で一斉提訴された住民訴訟で最初の二審判決。前橋地裁などほかの5地裁でも住民側が敗訴し、東京高裁に控訴している。
判決を受け、住民側は「最初から結論ありきの判決。何のために司法に訴えたのかわからない」などと批判。一方、都は「主張が認められた妥当な判決。八ッ場ダムの早期完成に向け事業を推進したい」とした。
住民側は①水道重要は減少傾向で利水上不要 ②洪水の予測流量が過大で、建設しても東京付近で下がる水位は数㌢―などと主張し、「ダムへの支出は壮大な無駄遣い」と指摘していた。
だが、大竹裁判長は、都の水道需要予測は合理的だと認定。洪水の流量も、独立性の高い学術機関が評価した結果から「相応の合理性がある」とし、「都にはダム建設による利益が認められる」と結論付けた。
本県の特定ダム対策課は「妥当な判決で、本県が対象の裁判も勝訴を確信している。早くダム本体工事に着手してほしい」と話した。
八ッ場ダムをめぐっては、東京地裁判決後の09年8月、マニフェスト(政権公約)に建設中止を掲げた民主党が衆院選で圧勝。しかし野田政権が11年12月、一転して建設再開を決めた。
国や都によると、八ッ場ダムの総事業費約4600億円のうち、都の負担は約870億円で、国の補助金を除いた実質的な負担は約635億円。このほかに水源地域整備事業約130億円などの負担がある。