2005年3月1日 上毛新聞トップニュース
「八ッ場ダム代替地 合意へ最終調整」
長野原町の八ッ場ダム建設に伴う代替地の分譲基準交渉で、国土交通省八ッ場ダム工事事務所は28日夜、水没五地区(川原湯、川原畑、林、横壁、長野原)の代替地分譲基準連合交渉委員会(萩原明郎委員長)への四度目の分譲価格提示を行った。萩原委員長は「交渉の継続は限界。これを最後にしたい」と各地区に収束を要望した。ただ、依然として要求額との開きは大きいため、「納得できない」との意見もあり、各地区で説明会を開き、合意に向け最終調整に入る。
参加した委員によると今回の提示では「百円単位の端数を切り捨てただけで、価格の引き下げはほとんどなかった」という。同委員会は、各地区の説明会で意見を集約。三月中に再度、委員会を招集し、合意するか判断を下す。
最終調整段階でのポイントは、昨年12月に行われた三度目の分譲価格提示で合意に反対した川原湯、川原畑両地区の判断。ほかの三地区では、地元住民の他地域への流出を防ぐためにも、早期合意を望む声が強い。
八ッ場ダム建設に伴う代替地の分譲基準交渉は、2003年12月から行われている。水没五地区は、これまで三度提示された分譲価格に対し「生活再建が厳しい金額」として、価格引下げを求める要望書を提出し、交渉を続けている。
◎「やむなし」「限界」と複雑
地元住民
水没地区の代替地の分譲基準をめぐる交渉は最終局面を迎えたが、地元住民の胸中は複雑だ。連合交渉委員会の萩原明郎委員長は「交渉が長引くと生活再建の設計図を描けない。今回でまとめたい」とし、合意に向けて各地区の判断に期待する。
林・横壁・長野原の三地区は「合意やむなし」の姿勢。長野原地区の委員は「提示額に納得しているわけではない。分譲価格が決まらないと生活再建ができず、住民が外に出ていってしまう。もう限界」と語る。
一方、全世帯が水没する川原湯、川原畑の両地区の委員は今回の提示に「数百円単位の端数を切り捨てただけ。この価格では再建できない」と厳しい表情。
「結局、犠牲になるのは水没住民」。あきらめムードも漂う。
地区間の温度差はあるが、「足並みはそろえていく」という。