2005年7月21日 上毛新聞より転載
「基準案受け入れへ 八ツ場代替地で水没5地区方針 」
長野原町での八ツ場ダム建設に伴う代替地交渉で、国土交通省提示の分譲基準案に対して難色を示していた川原湯、川原畑、林の三地区が二十日までに、同案を了承する方針を固めた。移転する墓地の通路の扱いをめぐり、国交省が今月、墓地通路の町有地化の意思を示し、交渉中断の事態が動き出した。
横壁、長野原を加えた水没五地区の代替地分譲基準連合交渉委員会(萩原昭朗委員長)は今月中に委員会を開催。五地区それぞれの意思を改めて確認した上で、分譲基準案を受け入れる意向を国交省に伝える見通し。
分譲基準案の交渉は六月中旬の前回会合で、国交省が「墓地の通路部分まで地元所有者に購入してほしい」と提案したのに対して、川原湯、川原畑、林の三地区が「通路は町か国の所有地にするべき」として難色を示し協議が中断した。
国交省は今月上旬に「墓地の通路部分は町の所有地とする」と改めて回答。合意に難色を示していた三地区は説明会を開き、この回答を検討した結果、「了承はやむなし」との判断に傾いたもようだ。
二十日夜、会合を開いた川原畑地区の野口貞夫ダム対策委員長は「国交省の回答を受け、今後の作業を踏まえて住民から早くまとめてほしいという声が多かったので、了承することにした」と語った。
今後、各地区は代替地移転後のまちづくりの協議を具体化させるが、要望と開きがあるまま了承した分譲価格に対する住民側の根強い反発に加えて、思い描いた計画を実現できるか不安視する声もある。
国交省は近く、本年度中に予定される代替地への移転開始のため移転希望者を対象に意向調査を実施する予定。