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「衆院選小選挙区ルポ かすむ郵政、八ッ場」(上毛新聞)

2005年9月8日 上毛新聞より転載

「衆院選小選挙区ルポ(下) かすむ郵政、八ツ場 」

 「二大政党」の政策対決がクローズアップされる衆院選。山間部への影響が取りざたされる自民の郵政民営化、民主が新たに掲げる「八ツ場ダム反対」ともに、切実な地元問題だ。

 だが自民と民主の攻防で、そうした政策論争はすれ違い気味。“劇場選挙”には染まらない、地方のニーズや生活感が選挙戦を覆う。

 自民の小渕優子は七日、群馬郡を中心に約四十カ所の街頭などで「未来へつなぐ社会保障や少子化対策が必要」と訴えた。連日、数十回の演説を精力的にこなすが、小泉首相が争点に掲げる「郵政民営化」は、ほとんど聞かれない。

 解散前、小渕は郵政民営化に慎重な姿勢を示し、郵政法案の衆院採決で棄権した。一時は公認を危ぶむ声もあったが、参院で付帯決議がされたことなどを理由に“賛成”して公認を得た。

 これまでの演説で、郵政改革に触れた場合も「中身の吟味が必要で地域にしわ寄せがあってはならない」と注文を付けており、微妙な立場をにじませている。

 民主はマニフェストに5区内の八ツ場ダム建設凍結を盛り込んだ。小渕の厚い地盤に挑む民主の田島国彦は、倉渕ダム凍結運動にかかわった経歴があり、今回も「八ツ場ダム建設凍結、地元の生活再建と観光振興」を公約に掲げる。

 だが、期間中に計五百カ所を予定する街頭演説で、ほとんど八ツ場問題に触れていない。田島は「有権者の反応から、5区では八ツ場も郵政も大きな争点になっていない」と判断したという。

 「政権交代」「小泉改革は地方の切り捨て」などのテーマに力点を置き、旧中選挙区三区時代の「福田派・中曽根派」関係者に接触するなど保守層の切り崩しを狙う。

 共産の福田あい子は「正攻法」で対抗する。七日、渋川市内の郵便局前で演説した際、民営化反対を強調した。「地域の人が集まり、話を聞いてもらえる」と、遊説場所として積極的に郵便局付近を選ぶ。八ツ場ダム建設など「無駄な公共事業」反対も主張する。

 毎日十回以上の街頭演説では、憲法問題や福祉を含め、小泉改革への全面批判を展開。一方で、「郵政や憲法など、どれを取っても自民と民主は同じ。社民も民主に協力している」と他の野党も批判し、共産の独自性を訴えている。(敬称略)