「土木建設業者が農作業代行」(上毛新聞)

上毛新聞 2005年9月19日より転載
「土木建設業者が農作業代行」

 中山間地の農業を守ろうと、土木建設業者が水稲栽培の農作業を代行するユニークな取り組みが吾妻郡の一部地域で広がっている。コメ作付面積の少ない同地域は農家の高齢化、後継者不足が深刻で、遊休農地が増加傾向にある。土木建設業者がこうした現状に着目、農作業代行に起業のチャンスを見いだしたかたちだ。事業は二年目を迎えたが、田植えなど今季の春作業は百六十三件を受注し、昨季比で三倍の伸び。業者側は「依頼はもっと増えていく。長く続けて地域の役に立ちたい」と話している。

 農作業受託事業はJAあがつま(唐沢脩一郎理事長」管内の吾妻、吾妻費東、中之条、高山、長野原、六合の六町村で行われている。土木建設業者から同JAに「昔は農閑期に農家が土木作業に来ていた。発想の転換で土木業者が農業を手伝えないか」と申し出があり、事業が具体化した。

 代行するのは水稲栽培の農作業で、春は耕起作業からあぜぬり、田植えまで、秋は稲刈りから脱穀、乾燥、耕地整備まで行う。価格は作業面積や難易度ごとに分かれており、農作業をすべて委託した場合、農家は施肥、水管理、除草作業を行うだけで水稲栽培でき、収益が上がる料金設定になっている。

 同地域の一軒当たりの平均作付面積は約二十アール。水稲栽培で使う農業機械をそろえると、コストがかさんで経営が成り立たないのが実情。同JA農産課は「店に行けば安くおいしいコメが買えるが、この地域の農家は十キロ一万円のコメを作って食べている計算だ」と中山間地域が抱える問題点を指摘する。

 土木建設業者は十二社で受託事業組合を設立して、同JAから注文を受ける。今季は耕起十五件(前年十三件)あぜぬり六十一件(同十二件)荒代かき四十五件(同十五件)田植え四十二件(同十一件)を受注するなど、順調に実績をのばしている。

 同JAも受託事業に大きな期待をかけており「この事業をうまく利用して田畑の改廃をなくし、地域農業を守ることにつなげたい」と話している。