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「首都圏の水がめ守れ 水資源研究センター設置」(上毛新聞)

2005年12月5日 上毛新聞より転載
「首都圏の水がめ守れ 水資源研究センター設置 」

 首都圏の水がめとして県は来年度、県衛生環境研究所(前橋市上沖町)に「水資源研究センター(仮称)」を設置する方針を固めた。利根川を中心とする河川や地下水、温泉など県内の水資源を総合的に調査研究し、水質改善を推進する。利根川の浄化や温泉の掘削制限といった環境政策への提言ができる「水のシンクタンク」を目指す。

 水環境に関する業務は法に基づく水質検査が行われている。ただ、その成果が抜本的な改善や資源活用につながっていないことから、県衛生環境研究所を機構改革し、水質研究に特化した部署として、水資源研究センターを研究所内に設置する意向だ。

 流域住民の生活を支えている利根川の水質の保全は「水源県としての責任」(小沢邦寿同研究所所長)。同センターは水の循環をトータルに調査し、汚染のメカニズムや浄化を研究するほか、県の魚「アユ」の漁獲高向上などを目的に、生物資源の生息環境改善もテーマとする。

 同研究所の調べによると、利根川の水質は上流から下流に行くほど汚濁が進む。群馬大橋(前橋市)から利根大おおぜき堰(千代田町)までの間に、生物化学的酸素要求量(BOD)、富栄養化の指標となる全窒素とも、およそ倍に増えている。

 地下水は、硝酸性窒素による汚染が東毛地域を中心に広がっている。地下水の環境基準項目に加えられた二〇〇〇年度から、超過率(基準値を上回った水脈の割合)は20%台で推移し、全国平均の四倍近くに上る。

 こうした汚れの原因として、生活排水や農業施肥、畜産排せつ物、工場排水など複合的な要因が挙げられているが、地下水から河川への流出も考えられるという。このため、同センターでは発生源や流れを地域ごとに探り、対策に役立てる。

 また、同センターは温泉も重要な地下水資源の一つととらえ、源泉の泉質や分布などのデータを蓄積。日帰り温泉施設の増加で、平野部を中心に大深度掘削泉が増え、源泉の湧ゆう出量が減少していることから、科学的データを示すことで掘削制限といった規制づくりの根拠としていく。

 同研究所は県山岳連盟と協力、現在県内の山の水場で大腸菌の有無といった水質調査を行っている。こうした民間との共同研究、交流も同センターで推進する構えだ。