2005年12月21日
昨日内示された財務省予算原案について、朝日新聞は「…小泉政権の『原点』とも言える国債30兆円枠が、政権の勢いをも表すキーワードとして浮かび上がる。ただ、それをどう実現するかは、財務省をはじめとする官僚任せ。」と辛口の論評。
国の公共事業予算が切り詰められる中、突出した増額が認められた八ッ場ダム事業は、官僚主導の具体例といえましょう。讀賣新聞社説は06年予算原案全体について、「財政再建へのささやかな一歩」と認めつつ、「企業収益は今がピークで、法人税の増収は、今後は期待できないとの見方もある」としています。
今後、消費税引き上げが議論されていく中、税金のブラックホールと化している八ッ場ダム事業の実態は、より厳しい批判にさらされることになるでしょう。
今朝の讀賣新聞群馬版より転載
「倉渕ダム 財務省予算原案ゼロ回答 継続か撤回か 県、迫られる判断」
2006年度予算の財務省原案が20日内示され、本体工事が凍結されている倉渕ダム(倉渕村)について、国土交通省が要求した1200万円は認められず、ゼロ回答となった。国補助を受けて同ダム事業を進めてきた県は今後、計画の継続か撤回かの判断を迫られることになる。
同ダムは1990年度に着手され、2009年度の完成を予定した。しかし、厳しい財政事情や伸びない水需要のため、03年12月に小寺知事が本体工事の凍結を表明した。凍結後も、烏川の流量調査や猛きん類の生息調査などは継続され、国予算では04年度が概算要求の7億円から8000万円に減額して認められ、05年度も3000万円を認められていた。
06年度は「当面、事業促進が見込まれない」として予算計上を見送られ、財務省側が事業を早急に再評価し、継続か中止かの決断を迫ってきた形となった。
同様の理由で、同ダムを含む全国14ダムがゼロ回答となった。
県河川課は06年度は県単独で同ダムの調査事業を継続する方針を示し、「ゼロ回答」の理由を精査したうえ、今後について検討していく。
■八ッ場は27%増■
国土交通省が建設を進める八ッ場ダム(長野原町)については、356億8900万円の事業費が認められ、今年度当初予算比27・4%の大幅な増額となった。
概算要求額は370億円で満額とはならなかったが、国の公共事業関係予算が4・4%削減される中での大幅増となった。事業費は、水没地区住民らの用地補償費や移転代替地造成などに充てられる。
同ダムは2007年度本体着工、10年度完成を目指している。国交省八ッ場ダム工事事務所は「工程が厳しいので、出来る部分について年々増額している」としていた。
内示額のうち、国費は143億円で、残りは利水する関係都県が負担する。
調査段階の増田川ダム(松井田町)は今年度と同額の9500万円が満額回答となった。
(2005年12月21日 読売新聞)