八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

「生活再建へ356億円」(上毛新聞)

2005年12月21日
 昨日、財務省の来年度予算原案が内示されました。八ッ場ダムには国交省の希望額370億円に近い、ほぼ満額を計上。予算の使い途は、水没予定地住民の生活再建と周辺整備が中心ということです。一方、地元では、代替地を希望せず地区外に転出する住民が後を絶たず、代替地計画を大幅縮小する交渉が進められています。
 熊本県の川辺川ダム予定地では、長引く事業の中で住民の5分の4が地区外に転出し、残った住民は代替地に移転しましたが、本体着工のメドが立っていません。五木村の住民からは、「ダムが中止になったら、何のための犠牲だったのかわからなくなる」という嘆きの声が上がっています。時代の流れの中で、八ッ場ダムが川辺川ダムと同じ道を辿る可能性は小さくありません。代替地造成を進め、住民の移転を促す政策を進める国は、その時、どうやって責任をとるのでしょう?

上毛新聞今朝のトップ記事転載

「06年度予算財務省原案内示 生活再建へ356億円 八ッ場ダムに満額」
 二〇〇六年度予算の財務省原案が二十日、内示された。国直轄の八ツ場ダム(長野原町)建設にほぼ満額の三百五十六億円(総事業費ベース)が計上され、代替地の造成など生活再建事業を加速させる予定。計画を凍結中の県営倉渕ダム(倉渕村)はゼロ回答となった。新規事業は、最先端のがん治療施設として群馬大が設置を計画している重粒子線治療施設設置事業に、初年度分の十億円が予算化される見込みだ。尾瀬の単独国立公園化に向けた調 八ツ場ダム関連は、生活再建と周辺環境整備が中心。用地買収や代替地の造成、国道145号の付け替えなどが実施される。建設総事業費は四千六百億円で本年度末までに二千百八十億円が執行予定。二〇一〇年度中の完成を見込む。

 また、県営増田川ダムは環境調査費など九千五百万円がついた。

 これに対して、倉渕ダムは「事業促進が見込まれない」(財務省)とされ、予算計上を見送られた。今後事業計画を見直し、継続か中止かを判断する。小寺弘之知事が〇三年十二月の県議会で建設凍結を表明していた。

 群馬大の重粒子線治療施設設置事業は三カ年計画。がんを切らずに治す医療で、同大医学部附属病院のある昭和キャンパス(前橋市昭和町)に〇六年度着工、〇九年度から治療への運用開始を目指す。総事業費は約百三十億円。国と県などの共同事業のため、県も予算措置を行う。

 既設の同様のがん治療施設は、全国に二カ所ある。国立大学法人では群馬大が第一号となり、がん治療での北関東の拠点と位置付ける。

 尾瀬関連は、尾瀬の日光国立公園からの分離などを話し合う「尾瀬のあり方検討会」(仮称)設置を含め、日光国立公園尾瀬地域利用適正化事業に満額回答の二千五百万円が認められた。「尾瀬国立公園」の実現に向けて一歩を踏み出す。

 道路は、北関東自動車道を建設する東日本高速道路会社の事業規模が二千二百八十九億円(うち政府保証債一千三百三十六億円)の見通し。北関東道の整備費は同社が三月に策定する事業計画で明らかになる。

◎代替地の造成本格化
 八ツ場ダムは、本年度の一・二七倍の予算が盛り込まれた。ダム本体の関連工事として、川の流れを変える「準備工」に新規に着手する。代替地の造成や基幹施設である国道145号、JR吾妻線の付け替え工事なども継続。予算の増加について、国交省八ツ場ダム工事事務所は「代替地造成が本格化するため」と説明している。

 準備工はダム本体工事に備え、吾妻川の脇にトンネルを掘って水流を迂う回かいさせる。二〇〇六年度は工事用道路の整備に取り組む。

 代替地は川原湯、川原畑、林、横壁、長野原の水没五地区で造成工事を本格化する。国交省は〇六年度の早い段階で分譲を開始する予定。

 代替地の造成計画は現在、国交省が住民意向調査の結果を踏まえ、修正案について五地区の代替地分譲基準連合交渉委員会と協議中。意向調査で代替地移転希望者が水没対象世帯全体の四割程度だったことに加え、用地取得が進まないエリアがあることなどから、計画が大幅に縮小されると見込まれる。