2005年12月26日 上毛新聞より転載
TOKYO通信
「宙に浮く『八ッ場中止』 民主、検証チーム機能せず」
2006年度予算の財務省原案で、八ッ場ダム建設(長野原町)に356億円が計上された。9月の衆院選で八ッ場ダム中止を掲げた民主党だが、その後の対応が宙に浮いている。党八ッ場ダム検証プロジェクトチーム(PT)が機能していないためだ。民主党は昨年PTを立ち上げ、定期的に勉強会を開いた。ただ、地元の生活再建を優先する党県連の考えも踏まえ、「結論ありき」でなく、国土交通省の説明を聞くことが中心だった。
党幹部の意向で建設中止をマニフェストに盛り込むことが明らかにされたのは、衆院解散直前の会合。反対を前提とした議論がされてこなかったことをみると、唐突で選挙対策の感が強い。
ところが、衆院選はPT中心メンバーの多くが落選し、活動を凍結するしかない状況だ。「いずれまた活動すると思う」(地元議員として名を連ねる富岡由紀夫党県連会長)とはいえ、再開のめどは立っていない。
民主党は03年の衆院選でも諫早干拓事業(長崎)の中止を表明し、地元の理解を得られなかった経緯がある。マニフェストに記したように事業の精査が中止の大前提である以上、建設の是非以前に議論の継続と内容の説明が課題として突きつけられている。