2007年8月9日 毎日新聞夕刊より転載
「淀川流域委が再開 委員長に元国交省の宮本氏」
今年1月末から活動を休止していた国土交通省近畿地方整備局の専門家会議「淀川水系流域委員会」が9日、大阪で再開した。新委員長には、昨年国交省を退職し一般公募で委員に選ばれた宮本博司・全同整備局河川部長(54)が投票で選出された。宮本新委員長は国交省時代に苫田ダム(岡山県)や長良川河口堰(三重県)の建設反対運動に直面した経験を持つ。これを教訓に、97年に改正された河川法が義務づけた「河川整備への住民意見への反映」に基づき01年に同委を作った人物でもある。
同委は今後20~30年のダム整備などに関して同整備局が定める「河川整備計画」について審議する予定で、谷本光司・同整備局河川部長は今年度中に計画を策定する意向を示した。
同委は国の委員会ながら、「ダムは環境への影響が大きく原則建設しない」との提言を03年に出し、住民参加と情報公開を徹底したやり方が、「淀川方式」として全国の市民団体からも評価された。しかし休止や、新委員選定を実質的に国が行ったことで、国に対して批判が出ている。宮本新委員長は「決して国のお墨付きと思われないよう懸命に運営したい」とあいさつ。一方、前委員長の今本博健・京都大名誉教授は「公共事業の計画づくりのモデルを目指した委員会の根幹を継承してほしい」と呼びかけた。(野田武)