2007年10月20日 上毛新聞より転載
「打越代替地の分譲を延期」
国土交通省は今秋予定していた川原湯地区の打越代替地の分譲開始を、ライフライン整備の遅れなどを理由に本年度末まで延期、八月開始の予定だった横壁地区も年末に延期した。
同省八ッ場ダム工事事務所は「新しい川原湯温泉の景観に配慮し、電線を地中化したため工事が複雑になり、工事が遅れた」と説明している。
「生活再建62事業実施 温泉や”冒険ランド”ー見直し対象9割以上 規模など詳細協議へ」
国土交通省が長野原町で進めている八ツ場ダム建設に伴う生活再建事業で、人口減などを理由に見直しの対象となっていた六十八事業のうち検討中を除き六十二事業が、地元住民との協議で実施する方向となったことが十九日分かった。川原湯地区の多目的温泉施設や「サイクルセンター」、横壁地区の「冒険ランド」などの主要な観光対策施設を含む。地元と同省などは今後、整備施設の規模や維持管理方法など各事業の詳細な協議に移る見通しで、現地再建の具体的な作業がいよいよ始まる。
県などは十一月中にも事業資金を支出する下流都県に事業方針を説明する。
生活再建と産業活性化に欠かせない観光対策事業は、川原湯地区の多目的温泉施設「クアハウス」や「サイクルセンター」など見直し項目に入った全事業が実施の方向。横壁地区のレジャー施設「冒険ランド」など五事業は統合した観光施設とするほか、林地区の「文化・芸術ゾーン整備」と「工芸製作施設」は「道の駅」などとして具体化を進める。
一方、農林業対策のうち農業経営近代化施設(横壁)と林業の素材生産施設等整備(横壁、林)の計三事業が「希望者がいない」として実施しない方針となった。
昨年七月、国交省や県は①計画が現在の状況に合わない②地元の意向で必要な物を追加③規模が大きく施設運営が困難④維持管理費が地元財政を圧迫する-などの基準で、全二百八十六事業中、観光・農林業対策を中心に見直し案を提示。地元住民が、百五十回を超える再検討作業を行ってきた。
九割以上の事業が実施方針となった背景には、地元の「全事業を行うのが原則」との強い主張があった。ただ、各事業の施設規模やコスト面など詳細な協議はこれからで、今後、内容が変更される可能性もある。