長野原第一小学校の統廃合問題、いちおうの結論が出たと各紙が報じています。巨大公共事業のかげで、学校の主役である子供たちは置き去りにされたままです。
2008年1月17日 讀賣新聞群馬版より転載
「八ッ場ダムで新築 小学校廃校 白紙に 長野原町長、教委方針採用せず」
長野原町の高山欣也町長は16日、八ッ場ダム建設事業に伴い2002年に新築移転した町立第一小学校について、08年度末で隣接校と統合させるとする町教委の方針を採用せず、白紙撤回とする考えを明らかにした。15日の町議会全員協議会で表明し、同日夜、PTA役員会で保護者にも伝えたという。
「水没住民の生活再建を最優先」
高山町長は、取材に対し、「教育委員会から統合方針は聞いたが、様々な声もあり、水没住民の生活再建を最優先する立場から、町として総合的に最終判断をした。第一小は、生活再建事業の先駆けとなった施設。これから下流都県に支出してもらう事業が始まるという今の段階では、統合できないと考えた」と話している。
第一小は、移転時に52人だった児童数が今年度は31人に減少。町教委は昨年、児童数の減少により、クラス活動など教育環境に問題が生じるとして、約5キロ西にある中央小と統合する方針を固めていた。統合した場合、第一小は廃校となる方向だった。
この方針には、当初、町長も理解を示し、昨年末には、町議会に町教委の方針を報告。新年度には跡地の利用検討委員会を設立し、廃校後の具体的な活用策を検討する意向だった。
しかし、方針が明らかになって以降、建設費を負担した下流都県などから、廃校とした場合に「無計画」や「無駄」との反発が出かねず、今後、下流都県が出資するほかの生活再建事業の進ちょくに悪影響が出ることを懸念する声が、町や県の関係者から出されていた。
町教委は依然、教育環境整備の観点から、「統合すべき」との姿勢を崩していないが、高山町長は、1月7日に開かれた教育委員会に出席し、方針を受け入れないとの意向を示し、教育委員らに理解を求めたという。
毎日新聞社会面
「群馬・長野原 廃校方針白紙に 町立第一小”無駄遣い”批判受け]
群馬県長野原町は、八ッ場ダム建設に伴う児童数減少による町立第一小学校の廃校方針を転換し、当面の存続を決めた。本誌報道などで町議などから「建設費の無駄遣い」と批判が噴出し、判断を先送りしたとみられる。
町は第一小の来年度末の廃校を検討してきたが、校舎が12億円で02年に建設したばかりのため一部の町民や町議が反発。町は15日に廃校方針を白紙にすると町議会に伝えた。
しかし現在31人の児童数は09年度には23人に減る見込みで、父母には「教育環境を考えれば統合した方がいい」との意見も多く、長期存続は困難との見方もある。