2008年3月8日 朝日新聞群馬版より転載
県議会本会議で7日、国の八ッ場ダムの計画変更に同意する議案の採決があり、賛成多数で可決されたものの、49人中5会派14人が反対に回った。04年5月定例会で、やはり同基本計画の変更同意案について採決をとった際に反対したのは、1会派のみ。大きな様変わりの背景には、工期の5年延長など同ダム問題が新たな局面を迎えていることと、昨年の県議選で議会の会派構成が大きく変わったことがある。
採決に先立ち、反対討論をした関口茂樹議員(スクラム群馬)は「ダム工事で温泉客が減る可能性があり、治水効果も少ない」と指摘。早川昌枝議員(共産党県議団)は「住民団体や研究者が出した疑問をふまえ、県として必要性を検証するべきだ」と主張した。
一方、ダムの地元吾妻郡区選出で、自民党(32人)を代表して賛成討論をした萩原渉議員は「地域住民は誰一人として反対していない。完成まであと少し、という時に水をさすのはどうか」と語った。
反対した14人は、フォーラム群馬(5人)、スクラム群馬(4人)、民主党改革クラブ、爽風(いずれも2人)、共産党県議団(1人)の5会派の全員。いずれも、2月末に結成した「八ッ場ダムを考える県議の会」のメンバーだ。
「県議の会」のうち3会派は07年の県議選後に結成されたもので、メンバーの半数の7人は初当選組だ。3人は、1年間の一般質問で計5回、批判的な立場から八ッ場ダムに関する質問をした。やはり初当選組の萩原議員や、同じ吾妻郡区選出の南波和憲議員(自民)は県議の会の会員とは逆に、賛成の立場から質問に立った。
06年度の本会議で八ッ場ダムに関する一般質問は2回しか出なかった。工期延長など状況に変化が生じている影響で、議論も活発になっている。