2009年3月20日 朝日新聞群馬版より転載
ー八ッ場ダムの存在と問題点 首都圏の住民も考えて市民団体が22日東京で 「キャッチコピーを」ー
首都圏の新たな水がめとして長野原町に建設中の国営八ツ場(や・ん・ば)ダムを多くの人に知ってもらおうと22日、市民団体「八ツ場あしたの会」が東京都内でイベントを開く。八ツ場ダムの存在や問題点を伝えるキャッチコピーを考え、インターネットの動画サイトなども使って関心を深めてもらう。
首都圏の住民にとっても、上流にある八ツ場ダムの存在は決して他人事(ひとごと)ではない。ダムによって新たな水源を得たり、洪水の被害を免れたりするとされ、総事業費4600億円のうち約2600億円は、東京、埼玉、千葉、茨城、栃木、群馬の6都県などで負担する。
一方で、国が事業を進めるうえで示すこうしたメリットなどに異を唱え、建設に伴う公金の支出の差し止めを求める住民訴訟が04年、6都県で一斉に起こされ、現在も係争中だ。
しかし、首都圏での知名度はいぜんとして低い。
あしたの会が開く22日のイベントに参加するコピーライターのマエキタミヤコさん(45)=東京都世田谷区在住=は今年1月、ダムの予定地を初めて視察した。山を切り崩して工事が進む様子を目の当たりにして、環境に与える深刻な影響を思った。「こんなに大ごとなのにあまりに知られていない」と衝撃も受けた。
マエキタさんは、夏至の夜に消灯して環境に思いをめぐらせる「100万人のキャンドルナイト」の仕掛け人として知られる。22日のイベントについて「八ツ場ダムの存在が知られない限りは、賛否の対話も始まりようがないから」と話す。
当日は午後1時半からで、会場は東京都豊島区のECOとしま。参加費500円。希望者は事前の申し込みを、あしたの会の新田乙絵さん(090・6142・5877)へ。(高重治香)